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TORENDIA

蘇生

本文約14,800字 ・ 読了時間 約30分

あらすじ(AIが作成しました)

劇薬を飲み倒れていた大学生の高木敬助は、意識を取り戻し、同居人の中西省吾から恋人の慶子が既にこの世を去った事実を告げられる。絶望の淵に沈む敬助のもとを、慶子の妹である秋子が訪れる。秋子は姉の遺言を伝え、生きるよう懇願する。二人は葬儀を終えたばかりの慶子を想い、悲しみを分かち合いながら、避けられない現実と向き合い生きる決意をする。

豊島与志雄

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人物 高木敬助………二十四歳、大学生 中西省吾………二十五歳、大学生、敬助と同居人 山根慶子………二十一歳、敬助の自殺せる恋人 同 秋子………十八歳、慶子の妹 村田八重子………二十一歳、慶子の親友、省吾と許婚の女 其他――老婆(六十三歳、敬助と省吾との召使)、看護婦、医師、高橋及び斎藤(敬助の友人)、幻の人物数人

深い水底に沈んだ様な感じだった。何の音も聞えず、何の象も見えなかった。ただ盲いた一種の快さが深く湛えていた。と、何処からともなく明るみが差込んできた。その明るみが彼を上へ上へと引上げようとした。然し彼の後頭部は鉛で出来ているかの様に重かった。そして上へ引上げようとする明るみの力と、下へ沈ませようとする後頭部の力とが、暫く相争っていた。やがてその両方の力が平均すると、何か張切った綱が切れたような気がした。と急に明るくなった。――敬助は眼を開いた。

黒い紗の布を被せた電球のタングステン線が見えた。それをじっと見ていると、胃袋の底から重苦しいものが逆にぐっと喉元に込み上げて来た。息がつまるような気がした。で両肩に力を入れてその重苦しい固まりを押え止めると、胸から一人でに大きい息が出た。あたりはしいんとなった。

輪郭の線が幾つにもぼやけた二三の顔が、彼の方へ覗き込んでいた。眼ばかりが馬鹿に鋭く輝いていた。そのうちの一つが急にゆらりと動いた。すると何か大きい物音がして、耳にがあんと反響して、頭の底まで震え渡った。

その響きが静まると、意識がはっきりして来た。先ず天井板が眼にはいった、板と板との重ね目が馬鹿に大きくなって、それから人が三人坐っていた。

それだけの簡単な光景が、強く彼の頭裏に飛び込んできた。と其処には前から深く刻み込まれていた別の光景があった。そしてその中に新らしい光景がぴたりと嵌りこんだ。二つが一つのものになってしまった。ただ何か一つ足りないものがあった。眼球をぐるりと廻して眺めると、人数が一人足りないことが分った。「誰だったかしら?」と彼は考えた。すると眼がくらくらとした。

「気がついたか!」

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