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TORENDIA

大自然を讃う

本文約1,600字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

自分の生を愛し慈しむ心の重要性を論じる。日々の生活で名誉や金銭などの功利に走ると、本来の目的であるはずの生が手段へと変質してしまう。著者は、忙しい日常から離れて大自然に触れることで、自己の微小を自覚し、雑念を払った赤裸々な生と向き合えると説く。大自然という悠久の存在の中に身を置き、小我を去って大我に還る過程で、生きていることの有難さと貴さを再発見し、己の生を愛する心が湧き上がる様を綴る。

豊島与志雄

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🎧 大自然を讃う / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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人の生活に最も大事なのは、自分の生を愛し慈むの感情である。生きてるということに対する自覚的な輝かしい感情である。なぜならば、そういう感情からこそ、本当に純な素直な力強い生活心境が生れてくるのだから。

この自分の生を愛する心を、吾々は忙忽たる人事のうちにあって、往々にして失いがちである。そして第二義的なものに――生の本質にではなくして生の便宜たるものに――ばかり眼を向けがちである。名誉だの名声だの金銭だのというようなものが、更に卑近な方面では、衣食住に関する余贅なものが、吾々の前に立塞がって、吾々の心を惑わし煩わしがちである。勿論それらのものは、生活に必要であり、活動力を刺戟しはする。然しながら、それらのものに囚われる時、それらのものばかりを追い求むる時、人はただ功利に走って、本当の生活の味を味い得なくなる。それらのものが目的となって、生きることが方便となる。

自分の生を――一生を方便とする、それほど惨めな浅間しいことがあろうか。人にとっては生きることが目的であって、名誉や金銭や名声や衣食住に関する余贅などは、生きるための方便であるべきである。(勿論茲に云う生きるということは、単に生命を持続することばかりでなく、生きるということが必然に内包してる、仕事や働きなどをも含めて云うのである。)そして人を正しく生かすものは、己の生を愛する心である。

己の生を愛し慈む心を、吾々は大自然に接する時、最も多く体得する。

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