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TORENDIA

雷神の珠

本文約2,800字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

世にも珍しい雷神の珠を手に入れようと画策するある長者の顛末を描く。長者は雷神を庭の木に落として珠を捕らえようと大掛かりな罠を仕掛け、雷神が好むという光る赤いものを探し求める。やがて金の日の丸が描かれた巨大な扇で雷神を誘い出し、空から落とそうと試みる。雷神の持つ神秘的な珠を追い求める長者と、それを警戒しながらも扇の輝きに引き寄せられる雷神との間で、激しい攻防が繰り広げられる様子を物語る。

豊島与志雄

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🎧 雷神の珠 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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一

むかし、世の中にいろんな神が――風の神や水の神や山の神などいろんな神が、方々にたくさんいた頃のこと、ある所に一人の長者が住んでいました。その長者が、ある日、他国から来た旅人から、次のような話を聞きました。

――雷の神が空から落ちると、その落ちたところに大きな穴があいて、その穴の底に、まっ白な珠が残る。それは世にも不思議な珠で、雷の神の宝物にちがいない。なぜなら、落ちた雷の神が黒雲に包まれて空に昇ってゆく時、黒雲はその珠をも一緒に包んで持っていってしまう。だから、その珠を見ようとすれば、雷の神が落ちてすぐに駆けつけなければいけない。けれども、黒雲に包まれてるうちだから、なかなか見つからない。世界中にまだ誰もよく見た者がない。それほど珍らしい不思議な珠だ。

長者はその話を聞いて考え込みました。それから、その不思議な珠をどうにかして手に入れたいと思いました。言うまでもなく長者のところには、金や宝が蔵いっぱいありましたけれど、世界中に誰も見た者がないというほど、珍らしい珠は一つもありませんでした。

「その不思議な珠を手にいれたいものだな。そうすれば私は世界一の長者になれるわけだ」

そして長者は、いろいろ工夫をこらしましたけれど、どうもうまい考えも浮かびませんでした。雷の神が落ちたところへ、落ちると同時に駆けつける、そんなことがなかなか出来るものではありません。雷の神はいつどこへ落ちるかわかりませんし、また、ぐずぐずしていれば珠と一緒にすぐ空へ昇っていってしまうのです。

「これは困った」

そして幾日も考えあぐんだ末、長者はとうとうある計画を立てました。

長者の庭のまん中に、大きな高い木が一本ありました。雷の神は何でも高いものの上に落ちるのですから、その庭の木に落ちないとは限りません。そこで、もし雷の神がその木に落ちて、それから地面に転がり落ちたら、木の根下に大きな穴があいて、そこに不思議な珠が落ちるだろう。だから、雷の神を一緒に生捕ってしまったら、その珠も手に入れることが出来るだろう。

「そうだ、そうだ」

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