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TORENDIA

天狗笑

本文約4,100字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

山あいの小さな村で、子供たちは「だるまさん」のにらめっこ遊びを始める。ある日、空に突如として巨大な顔が現れ、高らかに笑い声を上げて消え去る現象が起こる。子供たちはその存在を面白がるが、大人たちは悪い鬼の仕業だと考え、退治を企てる。村の人々が待ち構える中、再び空に大きな顔が現れ、不思議な笑い声が響き渡る。やがて村人たちは空を見上げて思わず笑い出し、この現象は天狗笑と呼ばれるようになる。

豊島与志雄

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🎧 天狗笑 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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一

むかし、ある山裾に、小さな村がありました。村のうしろは、大きな森から山になっていまして、前は、広い平野にうつくしい小川が流れていました。村の人たちは、平野をひらいて穀物や野菜を作ったり、野原に牛や馬を飼ったりして、たのしく平和にくらしていました。

村の人たちは皆仲よしでした。それで、子供たちも皆お友だちでした。大人たちがたんぼや牧場で働いている間、子供たちは一しょにあつまって仲よく遊びました。

ある夏の初め、子供たちはいつものように、一しょにあつまって、村のうしろの森のはずれの原っぱで、土盛りをしたり輪投げをしたりして遊んでいましたが、それにもあきてくると、近頃はやりだしたにらめっこを始めました。それは遠くの町からつたわってきた遊びで、これまでまだ村には知られてなかったのです。新しい遊びなだけに、子供たちは非常におもしろがりました。

「にらめっこしようか」

「しよう」

原っぱの中にみんなは円く輪をつくって坐りました。そして一しょにいいました。

だるまさん、だるまさん、

にらめっこしましょう、

わらうとぬかす、

一二三……うむ。

うむ……ときばって、息をつめて、両手を膝について、眼を見張って、おかしな顔つきをしながら、ほかの者を笑わそうとするのです。初めにぷーっとふきだした者は、すぐぬかされて、また「だるまさん」が始まります。そして一番おしまいまで残った者が勝ちなのです。

子供たちはそれを何度もくり返しました。

いく度目かにまたみんなで、「だるまさん、だるまさん」をやりだした時です。ふいに、頭の上で、空のまん中で、わはははははと大きな笑い声がしました。

おや……と思って、息をつめたままで、上を見上げますと、森の上からぬーっと大きな顔がのぞき出して、それが空いっぱいの大きさになって、家のような大きな眼と鼻と口とで、わはははははと笑っています。とすぐに、その顔も笑い声も消えてしまって、日の光のきらきらしてる青い空ばかりになってしまいました。

「何だろう」

みんなびっくりして、それからふと恐くなって、村の中へ逃げかえりました。

二

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