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TORENDIA

意欲の窒息

本文約3,700字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

文化の進展を阻む要因として、意欲が停滞し窒息する現象がある。ゴンチャロフ『オブローモフ』の主人公は、富裕な貴族でありながら怠惰な生活に耽り、すべての行動を放棄する。また、ジョルジュ・デュアメルの『サラヴァン』は、神経衰弱により現実適応を欠き、内省と懐疑の昏迷に陥る。さらに竜胆寺雄の「魔子」では、生活意欲が萎微し、末梢的な感性と頽廃に生きる現代の姿を提示する。本書は、こうした意欲の痲痺こそが文化の進展を最も妨げる病弊であると論じる。

豊島与志雄

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🎧 意欲の窒息 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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文化が新らしい方向を辿らんとする時、その派生的現象として、社会の或る部分に停滞腐爛を起す。大河の流れの中に、小さな淀みが処々に生ずるようなものである。流れと共に動こうとしても、河床や河岸の一寸した影響のために、一つの岩石のために、そこに淀んでしまう。そしてその中で、動く意志さえも無くなってしまう。文化の進展を欲する者が必然に起す種々の意欲は、何等かの理由による停滞のために、そこで窒息してしまうのである。

そういう意欲の窒息を、少し古いが、ゴンチャロフはオブローモフに於いて描出した。オブローモフは、数多の農奴を所有する富裕なロシアの貴族である。そして始終彼は、毛布のなかにもぐりこんで、微温と微睡とのうちに時を過している。何かの行動に当面すると、「何のために?」という考えが最初に出てくる。「何もかも面倒くさい。」というのがその結論である。彼は立派な教育を受けて、いろんなことを考えてはいる。然しやがて、何もかも面倒くさくなってしまう。

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