銀の笛と金の毛皮
本文約14,200字 ・ 読了時間 約29分
あらすじ(AIが作成しました)
羊飼いの少年エキモスは、ある日見つけた不思議な銀色の葦で笛を作り、それを吹くことで周囲の鳥や獣を惹きつける力を得る。金の毛皮を持つ鹿との友情を経て、少年は不思議な皮袋を手に都へ向かう。そこで貧しい人々に富を分け与えるが、やがて権力者に捕らえられ投獄されてしまう。しかし、少年を慕う動物たちや人々の騒動により、王は自身の強欲を恥じ、少年を解放する。争いのない世界を知った少年は、故郷の羊たちのもとへ帰る。
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一
むかし、あるところに、エキモスという羊飼いの少年がいました。父も母もないみなし児で、毎日、羊のむれの番をしてくらしていました。
青々とした野原に、羊たちはたのしくあそんでいます。野の花のあいだに、うつくしい蝶がとびまわっています。木立のなかや空たかくに、いろんな鳥がさえずっています。日がうららかにてっています。
エキモスは草の上にねころんで、歌をうたいました。口笛をふきました。草の葉でいろいろな笛をこしらえました。葦の茎でも笛をこしらえました。
――自分も、あの小鳥のようにうたいたい。けれども、いくらうたっても、笛をふいても、小鳥にはおよびませんでした。
そのうちに、ある日エキモスは、葦のしげみのなかに、まっ白な葦を一本みつけました。太くてまっすぐにのびて、白く銀のように光っています。エキモスはめずらしさに、しばらくぼんやりながめていましたが、ふと、かんがえました。
――あれで、笛をこしらえたら……。
すぐに、ナイフで、その葦をきりとって、笛をこしらえました。そしてふいてみました。が、少しもなりません。葦笛はただ銀のようにひかっているだけでした。
エキモスはがっかりしました。けれども力をおとしませんでした。次の節でまた笛をこしらえました。がそれもなりませんでした。
三つ、四つ、五つ……いくら笛をこしらえても、どれ一つとしてなるものはありませんでした。けれど、笛がならなければならないほど、エキモスはなお一生けんめいに、笛をつくりました。今にすばらしいのができる、とそんな気がしました。
とうとうさいごの一節になりました。それでだめだったら、もうまっ白なめずらしい葦もなくなってしまうのです。
「おう、神さま!」
とエキモスはさけびました。あらんかぎりの心をこめて、さいごの笛をこしらえました。そしてこわごわ、ふいてみますと……。
エキモスはおどり上がりました。うれしさに涙ぐみました。なります、なります。なんともたとえようのない美しい音がします。