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TORENDIA

内部生命論

本文約6,900字 ・ 読了時間 約14分

あらすじ(AIが作成しました)

人間が持つ「内部生命」の重要性を論じる評論である。著者は、外的な文明や物質的な功利主義を排し、個々人の心に根ざした精神的自由や生命の動機を重視する。文芸においても、華美な記述に終始した過去の写実を批判し、理想派や写実派を問わず、真に人間の内部にある生命の奥深さに触れることを追求すべきだと説く。宗教や哲学を超えて、文芸の根底に生命思想を据えるべきだという自身の主張を提示する。

北村透谷

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🎧 内部生命論 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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人間は到底枯燥したるものにあらず。宇宙は到底無味の者にあらず。一輪の花も詳に之を察すれば、万古の思あるべし。造化は常久不変なれども、之に対する人間の心は千々に異なるなり。

造化は不変なり、然れども之に対する人間の心の異なるに因つて、造化も亦た其趣を変ゆるなり。仏教的厭世詩家の観たる造化は、悉く無常的厭世的なり。基督教的楽天詩家の観たる造化は、悉く有望的楽天的なり、彼を非とし、此を是とするは余が今日の題目にあらず。夫れ斯の如く変化なき造化を、斯の如く変化ある者とするもの、果して人間の心なりとせば、吾人豈人間の心を研究することを苟且にして可ならんや。

造化は人間を支配す、然れども人間も亦た造化を支配す、人間の中に存する自由の精神は造化に黙従するを肯ぜざるなり。造化の権は大なり、然れども人間の自由も亦た大なり。人間豈に造化に帰合するのみを以て満足することを得べけんや。然れども造化も亦た宇宙の精神の一発表なり、神の形の象顕なり、その中に至大至粋の美を籠むることあるは疑ふべからざる事実なり、之に対して人間の心が自からに畏敬の念を発し、自からに精神的の経験を生ずるは、豈不当なることならんや、此塲合に於て、吾人と雖、聊か万有的趣味を持たざるにあらず。

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