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TORENDIA

漫言一則

本文約430字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

病ある友を選ぶべしと説く徒然草と、それを戒める西洋宣教師の教えを対比し、花の下にたたずむ自分を訝る英人宣教師との対話から東西の人心の違いを見つめる北村透谷の随筆。

北村透谷

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🎧 漫言一則 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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われかつて徒然草を読みける時、撰みて持つべき友の中に病ひある人を数へたり。いかにも奥ゆかしき悟りきつたる言葉と思ひて友にも語りける事ありけり。然るに頃者米国の宣教師某を訪ひたる時、其卓上に日常の誡めを記せるを見る。其中に言へる事あり、病ある人を友として親しむ可からずと。

われ曾つて英人なる宣教師某と相携へて花を艶陽の中ばに観る。わが花を賞するの心はわが時を惜む情より多かりければ、花王樹下に佇立する事稍しばらくせり。某即ち怪んで曰く、何事の面白きぞ。余曰く、この花の面白からずと思はるゝ所ありや、われはこの花に対して魂魄既に花心にありと言ひけるに、驚いて再び曰ふ、さてもさても日本は風趣に富める国かな。われら実際的の国民なる英人に取りては、兎ても花の下に終日浮かれぞめくの興を貪ることは覚束なしと。

偶然の事なれども、以て東西人心の異なれるを知るに足るべし。われは花なき邦に生れて富める人とならんよりも、花ある邦に生れて貧しき世を送らん事を楽しむ。

(明治二十五年四月)

完

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