むかし、インドのある町に、時々、飴うりの爺さんが出てきまして、子供たちにおもしろい話をしてきかせて、うまいまつ白な飴をうつてくれました。大きな大黒帽をかぶり、黒い衣をき、白いながいひげをはやしてゐて、どこからかやつてきてはまたどこかへ行つてしまひます。どこのどうした人かわかりませんが、みんなから、スミトラ爺さんとよばれてゐました。その白い飴がたいへんうまく、その話がたいへんおもしろいので、子供たちにとつては、スミトラ爺さんがやつてくるのがたのしみでした。
白い飴のはうは、皆さんに差上げることができませんけれど、そのおもしろい話のはうを、あらましおつたへしませう。
一 手品使になる話 わたしが十五歳の時のことでした。その頃わたしは、父にも母にも死にわかれ、兄弟もなく、一人ぽつちでしたから、薬屋をしてゐる叔父さんのうちにひきとられて、小僧としてはたらいてゐました。
その時、諸国をわたりあるいてる五六人ぐみの手品使が、わたしの町にやつてきました。広場に小屋がけをし、夜になると、あかあかと燈火をつけ、鐘や太鼓をうちならして、にぎやかにこうぎやうしました。
わたしは胸をわくわくさせながら、それを見に行きました。正面のたかいぶたいの上で、金や銀のぬひとりのある服をつけ、顔を赤くぬつたり白くぬつたりした人たちが、いろんなげいをしてみせました。一枚のカードが、てのひらのなかで、たくさんの数になつたり、消えてなくなつたりしました。ハンケチのなかから、鳩がとび出しました。さかだちをして、足で五色の輪をつかひわける者がゐました。大きなまりの上にのつて、まりをころがしながら、ダンスをする者がゐました。それから、綱わたりやちうがへり……。そのほかいろんなおもしろいげいがあつて、みんなからやんやとかつさいをうけました。わたしもむちゆうになつて手をたたいてやりました。