TRENDIA CLASSIC

北極のアムンセン

豊島与志雄

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一 地球の両極  地球は、自分でくるくる回転しながら、また大きく太陽のまはりを廻つてゐます。そしてこの地球自身の回転について、たとへば独楽のやうに、まん中に一本の軸があると仮定してみますと、その軸の一端が北となり、他の一端が南となります。その北を、地球の上では北極といひ、南を、南極といひます。

地球のこの回転のしかたは、いつも、横腹を太陽の方に向けるやうになつてゐますために、回転の軸の両端、すなはち、北極と南極との両地方は、太陽の熱を受けることが少くて、酷寒の地域となつてゐます。温度は零度以下数十度の寒さでありまして、まつたく氷と雪に蔽はれてゐます。その上、地球の回転の軸が太陽に対して少しく傾いてゐますために、一年のうち半年は、太陽が見えない夜ばかりですし、半年は、地平線に低く太陽が常に見えてゐて、明るさのにぶい昼ばかりです。

この両極地方がどういふ有様であるか、その探検のために、いろいろの企てがなされました。たとひ、人の住めない酷寒の地域であらうとも、世に知られない部分が地球の上にまだ残つてゐるといふことは、地球の主人公たる人間にとつては、甚だ残念なことでもあり、不面目なことでもあります。殊に、両極地の探検には、その荒々しい自然力を征服するといふ喜びの上に、地球の回転の軸の上に立つのだといふ楽しみまで加はります。

かくて多くの人々の探検の結果、現在では、両極地方の有様も、だいたい明かになつてをります。南極地方には大陸があると推定され、山脈や雪原や氷河があり、その氷の海岸線も半ばわかつてゐます。北極地方は海で、北氷洋と名づけられてゐますが、その中央部の海面は陸地と同じやうで、見渡す限り氷と雪の原野であります。

この両極地方の探検に、最も大きな功績を残したのは、ロアルト・アムンセンといふ人であります。

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