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TORENDIA

星の女

本文約10,900字 ・ 読了時間 約22分

あらすじ(AIが作成しました)

星の女の三姉妹は、美しい泉へ下りるために蜘蛛の王から糸の梯子を借りる。泉で水浴びをしていた末の妹は、猟人に着物を隠されたことがきっかけで、地上に残り彼と結婚する。子を授かり平穏に暮らす中、猟人の父の危篤により家を空けることになった。禁じられた二階の部屋を開けてしまった息子は母と末妹の失踪を招き、帰宅した父も亡くなる。独り残された息子のもとへ空から母が迎えに現れ、二人で大空へと帰っていく。

鈴木三重吉

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一

姉妹三人の星の女が、毎晩、美しい下界を見るたびに、あすこへ下りて見たいと言ひ/\してゐました。

三人は或晩、森のまん中に、すゐれんの一ぱいさいてゐる、きれいな泉があるのを見つけました。三人ともその水の中へつかつて見たいと思ひましたが、そこまで下りていく手だてがありません。三人は夜どほしその泉を見つめて、ためいきをついてゐました。

そのあくる晩も、三人はまたその泉ばかり見下してゐました。泉は、ゆうべよりも、なほ一そううつくしく見えました。

「あゝ下りていきたい。一どでいゝからあの泉であびて来たい。」と、一ばん上の姉が言ひました。下の二人も同じやうに下りたいと言ひました。

すると、高い山のま上を歩くのが大好きな、月の夫人がそれを聞いて、

「そんなにいきたければ、蜘蛛の王さまにそう言つて、蜘蛛の糸をつたはつて下しておもらひなさい。」と言ひました。

蜘蛛の王さまは、いつものやうに、網の中にすわつて、耳をすましてゐました。星の女たちは、その蜘蛛の王さまにたのみました。蜘蛛の王さまは、

「さあ/\、下りていらつしやい。私の糸は空気のやうにかるいけれど、つよいことは鋼と同じです。」と言ひました。

三人はその糸につかまつて、一人づゝ、する/\と泉のそばへ下りて来ました。

泉の面には、月の光が一面にさして、すゐれんの花のなつかしい香がみなぎつてゐます。三人はきらびやかな星の着物をぬいで、そつと水の中へはいりました。

すが/\しい、冷たい水でした。三人はしづかにすゐれんの花をかきわけていきました。三人のはだには、水のしづくが真珠のやうにきら/\光りました。

と、その泉のぢきそばに、或若い猟人が寝てゐました。三人はそれとは気がつかないでにこ/\よろこんで水を浴びてゐました。うと/\寝てゐた猟人は、三人の天の女が、泉のすゐれんの花をゆるがせて、水の中を歩いてゐる夢を見て、ふと目をさましました。ひぢをたてゝ泉の面を見ますと、まつ青にさしてゐる月の光の中で、三人の美しい女が、たのしさうに水を浴びてゐます。

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