TRENDIA CLASSIC
蛇つかひ
鈴木三重吉
1 / 5
インドだのエジプトだのといふやうな熱帯地方へいきますと、蛇使と言つて蛇にいろ/\のことをさせて見せる、わたり歩きの見世物師がゐます。たいてい五六人で組をつくつて、ありとあらゆるさま/″\の蛇のはいつた、籠や袋や箱をかついで、町から町へとめぐつて歩き、人どほりのおほい広場や空地で、人をあつめて見せるのです。人がいゝかげんにあつまりますと、蛇つかひはいづれも地びたにすわつたまゝで、中の二三人が、タンブーリンといふ、鈴のついた手太鼓をポン/\ヂャリン/\とならし出します。それと一しよに、ほかの二人は、へんな薬の草を口へ一ぱい入れこんで、ふう/\と、あたり一面へ、薄荷のやうなきついにほひのする烟をはき出します。
そのうちに蛇つかひたちは、袋や籠をあけて蛇をとり出します。すると蛇は、たちまちしつぽの方でからだをさゝへて立ち上り、によろ/\と上体をゆすぶりながら、タンブーリンの音に合はせて、にじり歩いてをどります。見物人は、それを見ると、はつはとよろこんで、お金をなげていくのです。
しかし、それらの蛇使は、そんなをどりを見せるばかりでなく、ときによると人の家へ出かけて戸口や窓をくん/\鼻でかぎまはしたあげく、このお家には蛇がゐるなどと言ひふらします。すると、家の人は気味がわるくなつて、では、どうぞつかまへていつてくれろと言ひます。そこで蛇つかひは、またタンブーリンをたゝき、れいの薄荷のやうなにほひのする烟をもう/\と立てゝ、シッ/\シッ/\と言つて、おびき出しますと、ふしぎにも、家の中にかくれてゐた蛇が、すぐにによろ/\とはひ出して来ます。蛇つかひはそれをつかまへてお金をもらひ、とつた蛇も袋に入れてもつていくといふやうなこともします。
鈴木三重吉の他の作品
TRENDIA CLASSIC
一本足の兵隊
鈴木三重吉
一本足の兵隊
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
青い顔かけの勇
士
鈴木三重吉
青い顔かけの勇士
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
赤い鳥
鈴木三重吉
赤い鳥
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
女の子
鈴木三重吉
女の子
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
黄金鳥
鈴木三重吉
黄金鳥
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
かたつむり
鈴木三重吉
かたつむり
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
胡瓜の種
鈴木三重吉
胡瓜の種
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
岡の家
鈴木三重吉
岡の家
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
金魚
鈴木三重吉
金魚
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
湖水の女
鈴木三重吉
湖水の女
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
小犬
鈴木三重吉
小犬
鈴木三重吉
TRENDIA CLASSIC
乞食の子
鈴木三重吉
乞食の子
鈴木三重吉