深夜の電話
本文約19,500字 ・ 読了時間 約39分
あらすじ(AIが作成しました)
少年探偵塚原俊夫のもとに、正体不明の男から深夜、殺人事件の予告を告げる電話がかかる。俊夫が手がかりを追うと、美容院での盗難事件や女優の川上糸子の失踪が浮かび上がる。糸子の替え玉工作や、仮死状態にする薬物ゲルセミウムを用いた犯罪が交錯する中、俊夫は独自の推理と調査で事件の全体像を解き明かし、誘拐団の画策を阻止する。有名探偵の名声ゆえに巻き込まれる奇怪な事件を、俊夫と協力者が追う物語である。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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第一回
一
木の茂れば、風当たりの強くなるのは当然のことですが、風当たりが強くなればそれだけ、木にとっては心配が多くなるわけです。
少年科学探偵塚原俊夫君の名がいよいよ高くなるにつれて、俊夫君を妬んだり、俊夫君を恐れたりする者が増え、近頃では、ほとんど毎日といってよいくらい、脅迫状が舞い込んだり脅迫の電話がかかってきたりします。
たとえば俊夫君がある事件の解決を依頼されると、解決されては困る立場の者から、脅迫状を送って俊夫君に手を引かせようとします。あるいは俊夫君がある事件を解決して多額の報酬を貰うと、それを羨んで、金員を分与せよなどという虫のいい要求を致してきます。
俊夫君は、それらの脅迫状や脅迫電話を少しも気にはしておりませんが、俊夫君の護衛の任に当たる私は気が気ではありません。皆さんは多分、私が「塵埃は語る」という題目の下に記述した事件を記憶していてくださるでしょうが、あの事件があって以来、私はできるだけ注意して、俊夫君と一刻も離れないように警戒しているのであります。
まったく、こんなに心配が増しては、有名になるのも考え問題ですが、それかといってどうにも致し方がありません。ことに、解決を望む人々が事件の解決を見て喜ぶ有様に接するたびごとに、私は、俊夫君がいかなる場合にも成功するよう祈ってやまないのであります。
これから、私が皆さんにお伝えしようとする話も、いわば俊夫君の名声の高いのが基となって起こった奇怪な事件です。世の中にはずいぶん物好きな人間もありますが、この事件に出てくる人物のような人間に出会ったことは初めてです。いや、こんな前置きに時間を費やすよりも、早く事件の本筋に入りましょう。
それは年の暮れも差し迫った十二月下旬のことです。諸官庁や諸会社のボーナスが行き渡って、盗賊たちが市中や郊外を横行しようとする時分のある夜、ふと私は電話のベルに眼をさましました。見ると、隣のベッドで寝ている俊夫君が、すでに起きようとしておりましたので、
「まあ、寝ていたまえ、僕が出るから」
と言いますと、俊夫君は、