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TORENDIA

「二銭銅貨」を読む

本文約2,100字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

探偵小説『二銭銅貨』の優れた構成と技巧を論じる。巧妙な暗号の仕掛けが読者の興味を惹きつけ、日本語の特性を活かした独自の手法が高く評価される。国内外の著名な探偵小説と比較しながら、筋運びや新機軸の重要性を説き、本作が日本における質の高い探偵小説の先駆けであることを示す。

小酒井不木

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🎧 「二銭銅貨」を読む / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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「二銭銅貨」の原稿を一読して一唱三嘆――いや、誰も傍にはいなかったから一唱一嘆だったが――早速、「近頃にない面白い探偵小説でした」と森下さんに書き送ったら「それに就ての感想」を書かないかとの、きつい言い付け。文芸批評と自分の法名ばかりは、臍の緒切ってからまだ書いたことが御座りませぬからと一応御断りしようと思ったところ、オルチー夫人のサー・パーシー・ブレークネーではないが、持って生れた悪戯気分がむらむらと頭を持ち上げて、大胆にもこうして御茶を濁すことになったのである。誠に仏国革命政府の眼をくらまして、貴族を盗み出す以上に冒険な仕事であるがせめて地下鉄・サムの「新弟子」位の腕にあやかりたいと思ってはみても、いや、それはやっぱり強欲というもの。

三度の飯を四度食べても、毎日一度は探偵小説を読まねば気が済まぬという自分に、「二銭銅貨」のような優れた作を見せて下さった森下さんは、その功徳だけでも、兜率天に生れたまうこと疑なし。碌に読めもしない横文字を辿って、大分興味を殺がれながら、尚おかつ外国の探偵小説をあさっていたのも、実は日本にこれという探偵小説がなかったからである。ところが「二銭銅貨」を読むに至って自分は驚いた。「二銭銅貨」の内容にまんまと一杯喰わされて多大の愉快を感じたと同じ程度に日本にも外国の知名の作家の塁を摩すべき探偵小説家のあることに、自分は限りない喜びを感じたのである。「一班を以て全豹を知る」ということは総ての場合に通用すべき言ではないが、こうして見ると日本にも隠れたる立派な作家があることがわかった。否、まだ外にもあるに違いないということが推定された。それ故、「新青年」の編輯者が、かかる隠れたる作家を明るみへ出そうと企てられたことに自分は満腔の賛意を表するのである。

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