活人形
本文約3,800字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
インドのターコール僧正のもとに、年老いた人形使いの夫婦が訪れ、長年苦楽を共にした人形への祈りを懇願する。僧正の祈りによって人形は命を宿したかのように生き生きと動き出し、広場で観衆を魅了する素晴らしい踊りを披露する。役目を終えた夫婦は人形と共に故郷への帰路につき、僧正への感謝を胸に、人形を生涯の友として新たな人生の門出へと向かう。
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一
むかし、インドに、ターコール僧正というえらいお坊さまがいました。むずかしい病気をなおしたり鬼をおいはらったり、ときには、死人をよみがえらしたりするほど、ふしぎな力をそなえていられるという評ばんでした。そしてたいへん慈悲深くて、なんでも貧乏な人たちにめぐんでやり、自分は、弟子の若いお坊さんと二人きりで、大きな、ぼだい樹のそばの小さな家に、つつましく暮していました。
そのターコール僧正が、ある日、庭のぼだい樹のこかげのベンチに腰をおろして、休んでいますと、みすぼらしいなりをした、年とった男がたずねてきました。悲しそうなおどおどしたようすで、僧正様にお祈りをしていただきたいと申すんです。
「お祈りはわたしの仕事だ。してあげましょう」とターコール僧正は答えました。
男はしばらくもじもじしていましたが、顔をふせていました。
「お礼のお金をもっておりませんが、ただでお祈りをしてくださいましょうか」
「お祈りはわたしの仕事だ。お金がなくてもしてあげましょう」を僧正は答えました。
男はしばらくして、またいいました。
「ここではございません。わたくしどもの宿まできてお祈りをしてくださいましょうか」
「お祈りはわたしの仕事だ。行ってあげましょう」と僧正は答えました。
男はしばらくしてまたいいました。
「わたくしのためにではございません。人間のためにではございません。こわれかけた大きな人形が一つございます。そのためにお祈りをしてくださいましょうか」
「お祈りはわたしの仕事だ。その人形のためにしてあげましょう」と僧正は答えました。
男はうれしそうに、眼をかがやかして、僧正の顔をながめていいました。
「ほんとうでございますか」
「お祈りはわたしの仕事だ」と僧正はほほえんで答えました。「一文もお金をもらわないでも、あなたの宿まで行って、そのこわれかけた人形のために、お祈りをしてあげましょう」
二
大きなぼだい樹のあるターコール僧正の家から、一里ばかりはなれた町のはずれに、きたない宿屋がありました。見すぼらしい年とった男は、そこへ僧正を案内してきました。そしてみちみち、僧正へ自分の身の上を話しました。