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TORENDIA

随筆評論集「文学以前」後記

本文約550字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

折にふれて綴った感想や随筆を編む過程と、収録作品の構成を綴る。本書の冒頭四篇には著者自身の希望で旧著から再録された文章を収め、残りは終戦後の約五年間に執筆された随筆や感想から構成される。小説執筆が主軸となった戦後の活動を振り返りつつ、親交のあった三木清、武田麟太郎、太宰治との思い出を記した三編について、深い感慨と自身の執心を語る。一九五〇年までの戦後随筆を網羅し、作家としての精神的基盤と歩みを記録する。

豊島与志雄

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感想や随筆の類は、折にふれて書いてるようでいて、いざ一冊の書物にまとめるとなると、わりに分量が少いものである。殊に、書物に収録するに堪えられず、反古として捨てなければならないようなものが多いのは、筆者として悲しいことである。

今、一冊の書物を編むに当り、分量が足りないので、旧著からも少しく再録せねばならなくなった。本書の最初の四篇がそれであって、今でもなお多くの人に読んで貰いたいと思ってるものばかり。その他は終戦後に書いたものである。

終戦後、私は主として小説を書いた。そのため、感想や随筆の形態を取るものが少いという結果にもなったが、この変革期の約五ヶ年間の収獲がこれだけのものだということは、自分でも聊か淋しい。然し、これらのものは、私の小説作品の謂わば台地とも言うべきもので、じかに私の気息が通っている。

本書の中に、三木清と武田麟太郎と太宰治と、思い出が三つ並んだことについて、殊に私は感慨が深い。終戦の年の九月末と翌年の三月末とその翌々年の四月半ばに、この三人の畏友を相次いで失ったことは、何としても痛恨に堪えない。三つとも短文ではあるが、それは或る他の文とを通じて、読者には恐らく分らないであろう私の執心が、本書には秘められている。

これで、戦後から一九五〇年までの私の随筆感想の全部である。

完

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