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TORENDIA

「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能

本文約3,200字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

日常生活、戦争、競技(スポーツ)という三つの要素を数式に見立て、それらを統合した先にある能の本質を論じる。誠実に仕事に打ち込む労働者の所作や、生死の極限に挑む戦場の気魄、そして平和な争闘である競技に通底する純粋な緊張感や身体の美しさを捉え、これら人間の真剣味が昇華された極致として能楽の精神性を位置づける。生活の精華が能へと進化する過程を示し、人間美の極致としての能楽の型と精神を考察する。

夢野久作

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🎧 「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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┃ 「生活」│ ┃

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┃ 「戦争」│0┃=┃能┃

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┃ 「競技」│ ┃

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この標題は表現派の禁厭札ではない。去年十月号の本誌の裏絵で、喜多実氏の「葵上」のスケッチ……又翌月号の本誌にその画を通じて、実氏の芸風と奏風氏の筆致をテニスに寄せて皮肉った無名氏の漫画……それから引き続いて新春号に奏風氏が書いた、これに対する感想文の「能楽スポーツ一体論」……と、この三ツを見ているうちに、ゆくりなくも出来上ったのがこの公式なのだ。

どうだ、わかるかね……ハハーン、ちょっとわかるまい。宇宙間に於ける至大至高の玄妙がこの中に含まれているのだからね。しかもダーウィンの進化論や、アインスタインの相対性云々よりも、もっと深刻透徹した名原則をあらわす公式なのだからね。……まずお聞きやれ……こんなわけだ。

吾々は日常生活に於て、途上車上のいずれを問わず、到る処に「能」を見ることが出来る。しかもその「能」なるものは、そこいらにありふれた専門家が舞台の上でやるソレよりも、はるかに緊張充実したものだから面白いではないか……と言ったとて、決して眉に唾するような話ではない。極めてありふれた、道理至極した話なのだ。

まず吾々の日常生活を煎じ詰めると、そこに「能」が現われて来る。換言すれば、ある一つの仕事を熱心誠実にくり返していると、その心境なり、その動作なりが、イツ知らず純一崇高化して来て、自然と能の型の均整美に接近して来るのだ。

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