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TORENDIA

幕末維新懐古談

本文約4,800字 ・ 読了時間 約10分

あらすじ(AIが作成しました)

彫刻家高村光雲は、宮内省献納品である楠公像の製作において、馬の専門知識を持つ後藤貞行を主任として招聘するよう岡倉覚三に懇願する。光雲は、自身の助力を担う後藤が陰の存在となることを避け、その技量を公に評価させることを志す。岡倉の快諾により後藤は馬の製作担当として正式に任命される。本作は、楠公像製作という国家的事業の裏側で、光雲が後藤の功績を重んじ、学校総出で大作に挑む過程を綴る回想録である。

高村光雲

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🎧 幕末維新懐古談 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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そこで、彫刻製作となるのですが、岡倉校長は、主任は高村光雲に命ずるということであり、それから山田鬼斎先生を担任とすることになった。すると、ここで一つ主任としての私に問題が起って来たのであります。

それは、何かと申すと、楠公は馬上であるが、馬の産地も分らぬということ……出来上がる大きさはというと、馬上で一丈三尺、馬の鼻から尾の先までが一丈八尺というこの大きな馬をまず自分が手掛けてやるとしてどうであるか、これはなかなか容易なことではないと申さねばならぬ……そこで当然思い出すのは後藤貞行氏のことです(後藤氏のことは前に狆の話のところでちょっと話して置きました)。後藤氏は、馬の後藤という位馬専門の人である。それ故、いよいよ手を附けるとなれば、是非とも後藤氏に相談してその助力を借りなければならない。「私は今楠公の馬をやり初めた。どうか御助力をたのみます」といえば氏は喜んで相談に乗ってくれましょう。また頼まずとも、先方から話を聞けば乗り出して来ても手伝いましょう。もしそうなるとすると、私は、自分で不安心なものを、人に手伝わせ、その助力を借りて製作するということになる。そうして、それが仮りに上手に出来たとして手柄は誰のものになるかということを考えると、後藤氏の骨折りは全く蔭のものになってしまう。どうで後藤氏の骨折りを借りなければならぬものとすれば、私の考えとして、どうも後藤氏の骨折りを殺すということは情において忍び得られぬところである……とこう私は考えたのであった。

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