本文へ移動
TORENDIA

思ったままを!

本文約480字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

トリックや筋の面白さばかりを語り合う探偵小説作家たちを軽蔑しつつ、人生を向上させるユートピアを創ることこそ文学の目的だと説く国枝史郎の評論。

国枝史郎

速度
🎧 思ったままを! / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

文学成長の道程の中に外国文学模倣時代という時期がある。この時期は成る丈け早く通過すべきである。日本探偵小説の如何に長くこの時期にウロツイていることか。笑う可きである。

○

僕には相当探偵小説家の友人がある。彼等の話を聞いていると軽蔑したくなる。「こういうトリックは如何さまのもので」「面白うござんすな、すぐにお書きなさい」「こういう奇抜な筋があるので」「こりゃ素晴らしい、急いでお書きなさい」「こういう怪奇はどうでしょう?」「ウーン、迚も素晴らしいものだ。君々いそいで書きたまえよ」こんな話ばかりを交わせている。しかも彼等の輩は、それらのトリックそれらの筋それらの怪奇を書くことによって、何を人生に寄与しようとするのか、そういうことは考えてもいない。

○

人生の再現、人生の創造――いずれも文学の目的である。探偵小説は、どっちかといえば、人生の創造という言葉にあてはめてよい文学である。――人生の創造ということは、実人生と遊離している世界を創って、読者を嚇かすことでは無い。人生を向上さす可くユートピアを創る謂なのである。日本の探偵小説家の輩はそういうことを知らない。

完

国枝史郎の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本