本文へ移動
TORENDIA

ノンシャラン道中記

本文約12,100字 ・ 読了時間 約25分

あらすじ(AIが作成しました)

1929年の夏、大西洋に浮かぶ絶海の一孤島へ二人の東洋人がやって来る。二人は八人の子供を抱える漁師の妻の家でひと夏を過ごすことになるが、奇妙な風習や災難が二人を翻弄する。子供たちのコンクールで思わぬ勝利を収め、賞金を手に島を去るまでの一幕を描く。

久生十蘭

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 14

一九二九年の夏、大西洋に面した西仏蘭西の沿岸にある離れ小島に、二人の東洋人がやって来た。質朴な島の住人が、フランス語で挨拶して見たら、相応な挨拶をフランス語で返すので、これは多分フランス人なんだろうと決め込んで、以来、多少の皮膚の色の曖昧さや、少し黒すぎる髪の毛の色には頓着しないふうであった。

さて、この二人の東洋人が、この夏を過すことに決めた島というのは、大西洋の中に置き忘れられた絶海の一孤島であって、そこには、風車小屋と、羊と、台ランプと、這い薔薇と、伊勢海老と、油漬鰯の工場と、発火信号の大砲と、「海の聖母像」と、灯台と、難破した FORTUNE 号の残骸と、――そのほか、風とか、入江とか、暗礁とか、それ相応のものの外、計らざりき、災難というものさえあったという次第。

久生十蘭の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本