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TORENDIA

民主主義

本文約350字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

無名の市井人が、人気者の野坂参三に会おうとして門前払いされ、次に板垣退助の娘を訪ねるも、仰々しい肩書の名刺にがっかりして帰る、織田作之助の風刺的な掌編。

織田作之助

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彼は人気者になら誰とでも会いたがった。しかし、人気者は誰も彼に会おうとしなかった。いうまでもなく彼は一介の無名の市井人だった。

野坂参三なら既にして人気者であり、民主主義の本尊だから、誰とでも会うだろう。彼はわざわざ上京して共産党の本部を訪問した。ところが、党員が出て来ていうのには、

「野坂氏は多忙で誰とも会いません。用件は私が伺いましょう」

用件はなかった。すごすご帰る道、仙台に板垣退助の娘がいることを耳にした。板垣退助こそ民主主義である。彼は仙台へ行った。宿につき女中にきくと、

「誰方とでもお会いになります。いえ、誰方にも名刺を下さいます。私もいただきました」

見せて貰うと、洗濯屋の名刺のように大きな名刺で「伯爵勲一等板垣退助五女……」という肩書がれいれいしくはいっていた。

彼はがっかりして会わずに帰った。

完

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