本文へ移動
TORENDIA

新人の諸作一括

本文約360字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

大下宇陀兒の掌編「蛞蝓奇談」を、無駄のない伏線運びを評価しつつ、古めかしい題材に頼らず現代文明を材にした探偵小説を書くよう望む、平林初之輔の作品評。

平林初之輔

速度
🎧 新人の諸作一括 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

大下宇陀兒氏の「蛞蝓奇談」(『新青年』増刊)これはショート・ストーリーである。という意味は短いながらも一つの完結した物語であるという意味だ。なめくじという妙な動物の不思議な習性についての最初の説明はそれ自身で面白いのみならず、それがこの作品の伏線として役だっているのだから、無駄のない書き方だといわねばならぬ。なめくじとつばきのかたまりとを間違えるというような無理な作為にもかかわらず面白い読み物である。だが私は、この作者のような科学者に対しては、こんな古めかしい見世物などに材料をとらないで、探偵小説の本質にもっと接近した現代の機械文明の先端から材料をとった作品を書いてもらいたいと希望するのである。でないと探偵小説はずるずるべったりに古い通俗物語の中へ埋没してその独自性を失うだろう。

(『東京朝日新聞』一九二九年二月二日)

完

平林初之輔の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本