恐怖の季節
本文約134,300字 ・ 読了時間 約269分
あらすじ(AIが作成しました)
三好十郎が執筆した本稿は、戦後の社会状況や文学界の現状について著者独自の視点から綴る。政治と闘う存在としての「大インテリ」の定義を広津和郎や志賀直哉らの作家像に求めて論じ、当時の記録文学やルポルタージュ作品におけるドキュメントとフィクションの融合に対する考察も展開する。自身の立場を明らかにしつつ、時代への批判を交えながら、表現の本質や作家の誠実さについて鋭く思索する一連の論評を収める。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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大インテリ作家
「演劇に関するエッセイを書いてください」
「おことわりします。演劇について論評したりする興味を失っていますから」
「それなら、文化や文芸などについてのエッセイはどうですか?」
「しかし、つまらんですよ、私の書くものなど。私は、単純な言いかたでしかモノの言えない人間です。今の雑誌などでは、単純なわかりやすいモノの言いかたをすると、人がバカにしたり、ビックリしたりするでしょうから。バカにされるのは私の方ですから、かまいませんが、ビックリするのは、人さまですから、やめにしたほうがよいでしょう」
「それはそうです。実際、今の雑誌の論文類は、書きかたがむずかしすぎます。われわれも、よく執筆者にやさしく書いてくれるように言っているんですが、なおりません。実際われわれ自身が読んでもよくのみこめないような論文などを雑誌にのせる時には、読者への責任という点で考えこまざるを得ない時があります。ですから、いいじゃないですか、その単純なところで書いてください」
「でよければ、書きます。しかし一カ月だけなら、イヤです。悪口も書きますから、一回コッキリで書くと、イタチの最後ッペみたいになって、卑怯でもあるし、言いたりないし、それに私の本意にも添わぬことになりますから、五、六カ月間、私の好き自由なことを書かせてくださるなら書きましょう」
「けっこうです。で、どんな事を書いてくださいます?」