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TORENDIA

詩劇「水仙と木魚」

本文約15,500字 ・ 読了時間 約31分

あらすじ(AIが作成しました)

病気で寝たきりの少女・光子と、隣家の農園で働く少年・昇の交流を描く。光子の父が住職を務める寺と、昇の家である農園は、木魚の音と肥料の臭いを巡り長年いがみ合っている。光子と昇は、互いの親が抱える対立や、周囲の大人たちの愚かさに反発しながらも、友情を育む。親の争いに翻弄されず、自らの意志で未来を信じ歩もうとする二人の姿を通し、古い因習や大人たちの論理に対する若者の純粋な問いかけを浮き彫りにする。

三好十郎

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プロローグ

私は京極光子と申します 年は十七年三カ月 学問は中学を卒業しただけで 病気のために寝たきりで 自分一人では一メートルも動けない 詩を読んだのは 宮沢賢治とホーマアのオデッセィの二冊だけです その私が、おどろくなかれ 水仙と木魚という題で 長い長い詩を書きますから どうぞ皆さん覚悟してくださいな この中で私は 人類よ、思いあがって 水爆や原爆なんぞをポカポカとおっことして 地球をこなごなにしないように気をつけろ! アメリカとソビエットよ、のぼせあがって したくもない戦争を しなくてはならぬようなハメに持って行かないように気をつけろ! と オトナたちを叱ってやろうと思います

びっくりなすった? 実はそれウソですの 私がホントにここに書きつけるのは 小さな小さなことばかりで エンの下の蟻の巣の中で 蟻がどんな声で泣き悲しんだかということや 二番目の水仙が芽を出したのは 二月の幾日の朝であったかということや カリエスの腰がどんな日に一番痛むかということや すべてそういう、人さまにはどうでもよいことばかりを ゴタゴタと書きつけて 昇さんに見せようというだけです

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これは 小さい町の町はずれの 竹やぶの蔭のお話です その竹藪は明るくゆれて 風が吹くとサヤサヤとささやき渡り 子供が向うから小石を投げると カラン・カラ・カラ・カチッと 青い幹にあたって鳴りひびく

その竹やぶのこちら側に 小さいお寺があるのです お寺には本堂のわきに庫裡があって 庫裡の裏に離れがあって その離れの縁側の静臥椅子に もう三年もジッと寝ているお寺の子なの それが私

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