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TORENDIA

破れわらじ

本文約16,800字 ・ 読了時間 約34分

あらすじ(AIが作成しました)

山奥で木こりとして働く健二と妹のお花は、伐採作業を通じて日々の生活を送る。ある日、仕事仲間である仲蔵の存在が二人の日常に交差する。物語は、山での労働や人々の交流を描きつつ、やがて病に倒れたマキ子の姿へと視点を移す。栄養失調で生きる意欲を失っていたマキ子は、仲間たちが歌う歌を耳にして心境に変化の兆しを見せる。生活の窮状を背景に、山や街で生きる人々の悲哀と再生への願いを木びき歌や博多節の調べと共に描き出す作品。

三好十郎

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[#ここから2段組み]

お花

健二

六平

仲蔵

伍助

杉村

中年過ぎの女

五郎(肥前)

お銀

番頭一、二

松男

金一

三吉

通行人

およね

越後

豊後

陸前

サツマ

上州

マキ子

三河

岩見

井上医師

[#ここで2段組み終わり]

音楽(後のくだりのシンフォニイと同じ主題のオーヴァチュア)

音楽をバックにしてアナウンス。

アナウンスと音楽が止み、しばらくシーンとして。

不意にカーン、カーン、カーンと大なたで立木を刻む音が、山々にこだましてひびきわたる。

鋭い小鳥の声々。

時々、風にのって谷川の音がザーッと流れてくる。

――深い山奥の林の中の感じ。

「ヨッ、ホウ!」

と若い男の掛声、同時にカーンと立木の音。

その音を合図のように、少しはなれた所から、まだ成熟しきらない少女の、まるで少年の声にきこえるような堅い粗野な節まわしの歌。

お花 「やーれ」

山で赤いのは、こら

つつじに椿

それにからまる藤の花

ああ、チートコ、パートコ

やーれ

遠くはなれて、こら

逢いたい時は

月が鏡になればよい

ああ、チートコ、パートコ」

健二 相変らずのヘタクソじゃなあ、お花! おのしが唄うと、おれあ、向うずねばナタで叩つきるうごつある!

お花 あらあ、あんな事言うて……あたいの歌あ、こりでいいちうて、仲さんがほめてたのに……

健二 そんなら、後で六平の小父さんに唄うてもろうて、くらべて見ろ。仲は、ありゃ、おのしのすつこっあ、なんでんかんでん、よかきい。

お花 んなら、あんやん、唄うちみ。

健二 おりゃ、日田の山奥の木こりですばい……歌あ唄えんばってん、木を切りきりゃ、いいきのう……ヨッ、ホウ!

カーンと立木を切る音。

一方お花はゴシゴシと、小のこぎりを使いながら、

それに合わせて、

お花 「やーれ

月の出しをと、こら

約束したが

月は山かげ、主あどこに

やれ、チートコ、パートコ」

アッハハハハ、と二人が声を合せて笑う。

健二 そら、行くぞ、お花どいてろう……

カーンと打ちこんだ音でヒノキの大木がベリベリベリ、ザザザーッと倒れる音。

妹が兄に近づいて行き、

お花 こら、この汗だ、あんやん!

兄の背中を拭いてやる。

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