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TORENDIA

よみがへる父

本文約350字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

父の十七回忌に帰郷したのが自らの縁談成立の時期と重なったことを、仏の導きのように感じる。妻と共に奈良の大仏を訪ね、亡き父の記憶を少しずつ掘り起こしていく、原民喜の掌編。

原民喜

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🎧 よみがへる父 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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父の十七回忌に帰って、その時彼の縁談が成立したのだから、これも仏の手びきだらうと母は云ふ。その法会の時、彼は長いこと正坐してゐたため、足が棒のやうになったが、焼香に立上って、仏壇を見ると、何かほのぼのと暗い空気の奥に光る、かなしく、なつかしい夢のやうなものを感じた。

彼は奈良に立寄って、大仏を見た。その時、かたはらに妻がゐると云ふことがもう古代からのことのやうに思へた。何人かここに来て、何人か死んで行った――そこの太い大きな柱をめぐって、年寄の女が御詠歌をうたってゐた。

彼の妻は父のことを聞くのを好んだ。彼はそれで以前よりか、もっと細かに父に関する記憶を掘り出すことが出来た。すると、そればかりではなかった。あちらからも、こちらからも並木路が見えて来た。何年も憶ひ出さなかった記憶がそこを走り廻った。

完

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