TRENDIA CLASSIC

妖怪学一斑

井上円了

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私は七、八年前より妖怪のことを研究しておりまして、今日のところでは、いまだ十分に研究し尽くしたわけではありませんがその研究中であって、いろいろその事実を収集しております。果たしてこれが何年の後に成功するか分かりませんが、どうぞしてこれだけの事実を集めた上で、一つの学科として研究したいという私の精神であります。このことは、今日この教育社の記念会の席でお話しするのは、少し不適当かと思いましたが、しかし、学術上において研究する上には、教育に最も密接なる関係を有するものでありまするから、今日は、かく教育に熱心なる諸君が御集会の席で、教育の点から、その一斑をお話しいたす考えでござります。(謹聴)

私がこれを研究し始めまして以来、諸方から続々、妖怪事実を御報道にあずかりまして、すでに今日まで集まっておるのが五、六百ないし七、八百に達しておりまして、本箱の中は報道をもって充満しております。これは誠に私の望むところで、図らずもかくのごとく多くの事実が集まったのは、私にとっては誠に幸福と思っておることでござります。が、その報告を調べてみまするというと、私が考えておることと、ある部分においては実によく一致しておりますが、また、ある部分においては、私の考えとどうも合っておらんと思うこともあります。妖怪学のことについては、私が他日これを研究し尽くした後にお話しいたすつもりでありますから、今日までいろいろ人から要求を受けたこともありましたけれども、いまだまとめて話したことはありません。よって、今日も全体について話はいたしませぬけれども、これまでの報告と私の考えたこととが相違しておるところをお話し申して、今後御報道にあずかるについて御注意を願います。

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