おばけの正体
本文約74,500字 ・ 読了時間 約150分
あらすじ(AIが作成しました)
各地から寄せられた数百項におよぶ妖怪の実証的な実験談や報告を集め、家庭や学校の児童に向けて読みやすく綴ったものである。執筆者は、古書や迷信に基づく従来の怪談を排し、明治維新以降に起こった出来事を調査・考察する。自身の幼少期の体験や実験談を交え、幽霊や怪火として語られる事象が、実は障子の破れや時計の音、人の行動など、物理的な原因に基づくものであることを論じ、迷信を排して精神を安定させる妖怪学の重要性を説く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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緒言
明治三十一年のむかし、『妖怪百談』を著し、つぎにその「続編」を作りしが、望外にも世間より歓迎せられ、再三再四、版を重ぬるに至りたるも、数年前に残本全く尽き、久しく購読を謝絶しきたれり。その後さらに再版せんと思いしも、本書の内容が古人の書を引き、古代の話を伝えたるもの多ければ、そのまま再版するもおもしろからずと考え、絶版のまま今日に至れり。
しかるに、この最近二十年間、全国周遊中、各所において妖怪の実験談を直接に聞知せるもの、または研究会員より妖怪の新事実を報告せるもの、または地方の有志者より新聞雑報の切り抜きを寄送せるもの、および自ら実地につき探知せるもの等、数百項の多きに達したれば、これを収集選択し、また旧著中、明治維新後に起こりし妖怪事件十余項を抜粋し、合わせて百三十項を得、新たに『おばけの正体』の書名の下に上梓するに至る。その期するところは、家庭および小学にありて、妖怪に迷える児童に読ましめんとするにあれば、文章は言文一致を用い、事項は児童の了解し得る程度を計り、平易簡明を主とせり。つまり、家庭の御伽話に資せんとするの微意なり。読者、願わくはその意を了せられんことを。
妖怪と迷信とは密接の関係を有し、ほとんど妖怪の八、九分どおりは、迷信より起こると断定して可なるほどなり。ゆえに、本書中に迷信を併記せるも、そのほかになお迷信に関する事項はすこぶる多ければ、他日、さらに「迷信集」を編述する心算なり。
また、今日の学理をもって解説し難き、いわゆる真の不思議と称すべき事項も夥多あれば、他日、別にこれを集成して「真怪論」を発行する予定なり。そのこともあわせてここに予告す。
大正三年六月演述者自ら記す [#改丁]
おばけの正体