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TORENDIA

妖怪報告

本文約7,600字 ・ 読了時間 約16分

あらすじ(AIが作成しました)

心理講究を行う著者が、解釈困難な妖怪事実の報告を募り、研究の一助とすることを綴る。本書は、夢想が実際の出来事と符合した複数の事例や、火事を予見した夢に対する考察を収める。これらは、夢が五官の交感や往事の追懐など種々の原因で結合して成るものとしつつ、霊魂が幽明に通ずる可能性や、事象が偶然に一致する偶合の概念を論じる。夢が人事を知る根拠となり得るかを問い、科学的な解釈を試みる記録である。

井上円了

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本館にて、心理講究のかたわら妖怪事実を捜索研究し、その結果を館員に報告し、また、その事実を館員より通信せしむるについては、従来の通信中、妖怪、不思議にして解釈を付し難きものを掲載し、一は館員中事実報告の参考となし、一は館員よりこれに対する意見を報知せしめ、妖怪研究の一助となさんとす。よって今後は、ときどき妖怪事実を本誌に記載すべし。

左の一事実は、明治十九年、余が手に入りたるものにして、静岡県遠州某氏の報知なり(本誌掲載のことは本人に照会せざりしをもって、その姓名を挙げず)。夢想の研究については、参考すべき必要の事実なり。

○霊魂は幽明の間に通ずるものか

予は祖先相つぎ、世々農をもって業とするものなり。父母存在し、一姉あり、さきに他に嫁し、一弟あり、齢七歳にして没す。妻あり一男を産む、成長す。当時家族五人、予や明治十二年以降、某官衙に微官を奉ず。しかして、明治十九年二月二十日、公務を担い、奉職の官衙を去る十里ほど、某官衙に至る。該地に滞留すること八日維時、その月二十八日夜、寝に就く。忽地にして妻、手に提灯を携え、某川のそばに彷徨し、予に告げて曰く、「父、水没す」と。ともに驚然として覚む。とき夜半、なお再び寝眠するに、さらに水没の地名を呼ぶ。夢況また故のごとし。しかして夢破すれば、時辰儀まさに七時になんなんとす。起きて盥嗽し終わり、うたた昨夢の現象を思う。しかれども、予や元来、夢想に感じ、空想を惹起するがごとき情感なく、ことに夢境は某川暴漲せりと覚ゆれども、あたかも天晴朗、降雨の兆しもなし。かつ、はじめ家を去るとき、父平素にたがわず健康なれば、これを煙消霧散に付し、意思のかけらにもかけず。

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