TRENDIA CLASSIC

欧米各国 政教日記

井上円了

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緒言

一、余、はじめ紀行、日記等は編述せざる意なりしが、友人来たりて曰く、近来洋行者はなはだ多く、紀行、日記またすくなからずといえども、いまだ宗教、風俗に関したる紀行を見ず。君、よろしくその洋行日記を編成して世上に公にすべしと。余、よって懐中日記を出だしてこれを示す。友人曰く、これにて足れり。世人、君より政教の事情を聞かんことを欲するや切なり。君、速やかにこれを刊布すべし。余、よって懐中日記中より日月地名を除き去り、もっぱら宗教、風俗に関したる種目のみを取り出だし、一編の冊子となせり。仮に題して『政教日記』という。 一、この書、題して『政教日記』と称するも、もっぱら宗教と風俗とに関したる事項のみを掲出せり。しかして、各国の政教関係論にいたりては、他日別に編述することあるべし。 一、この書、むしろ洋行雑記にして、宗教、風俗のほかに種々雑多の事項を混入せざるにあらず。そのうち往々政教上に必要ならざるものあるべしといえども、帰朝後意外に多忙にして、緩々訂正取捨するのいとまなければ、その日記中、草案のまま編成するに至る。読者請う、これを了せよ。    明治二十二年八月著者 しるす [#改ページ]

第一、周遊の目的および太平洋紀行の部

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