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TORENDIA

迷信解

本文約48,500字 ・ 読了時間 約97分

あらすじ(AIが作成しました)

文部省編纂『国定小学修身書』で取り上げられた迷信に関する記述を題材に、児童や家庭に向けた迷信の解釈と解説を収める。本書は、狐狸や天狗、幽霊、加持祈祷など世間に流布する様々な事象を、科学的・心理的な道理に基づき解明する。偽怪や誤怪を信じ込むことの愚かさを説き、知識を磨き道理を究めることで、迷信に惑わされない主体的な精神態度を養う重要性を啓発する。

井上円了

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緒言

今般文部省にて編纂せられたる『国定小学修身書』を一読するに、その中に迷信の課題ありて、懇切に迷信に関する注意を与えられしも、その文簡短にして、小学児童の了解し難きところなきにあらず。よって余は『修身書』にもとづき、その中に指示せられたる各項を敷衍詳解して、小学および家庭における児童をして、一読たちまち各種の妖怪を解し、迷信を悟らしむるの目的をもって、本書を講述したり。もしその参考には、『妖怪早わかり』『妖怪百談』『妖怪学講義』『妖怪学雑誌』『妖怪叢書』等を見るべし。

明治三十七年七月講述者誌 [#改ページ]

迷信解

第一段 緒論 『国定小学修身書』を案ずるに、尋常小学第四年級用第十五課に「迷信を避けよ」との一課あり、また、高等小学第二年級用第六課に「迷信」の一課ありて、その課の目的は迷信の避くべきことを知らしむるにありと書いてある。されば、学校における児童はいうに及ばず、家庭においてもよくこの心得を守りて、児童に迷信の信ずるに足らぬことをよく教え込んでおかねばならぬ。よって、余は多年このことを研究したりし廉をもって、『修身書』に示されたる迷信の箇条を詳細に解釈し、多くの人に分かりやすきように説き明かしておきたいと思う。

尋常の『修身書』に出ておる、武士が瓢箪を切りたる話は、『珍奇物語』と題する書中に出ておる。また、祈祷者が神酒徳利に鰍をいれたる話は、『閑際筆記』に見えておる。多分その当時、民間にて評判されし出来事であろう。また、高等の『修身書』に出でたる徳川家康が西方に向かって出陣せし話は、『草茅危言』に書いてある。藤井懶斎が凶宅に住せし話は『先哲叢談』にあるも、その源は『閑際筆記』より引用したるものである。いずれも迷信を人に諭すに、最も分かりやすく、かつ興味ある話である。

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