TRENDIA CLASSIC

妖怪学講義

井上円了

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余は、数年来研究せる四百余種の妖怪を八大部門に分かち、一昨年一年間を期して講述し、一時その筆記を印刷して有志諸氏に配布したりしが、その後、四方より続々購読を望まるるものありとて、書肆より切に再版を請求しきたれるをもって、ここに旧稿のまま再び印刷に付することとなす。再版は購読者の便をはかり、各部門につきてこれを合綴し、目録および付録を増加し、八大部門を合して六大冊となす。しかして、その印刷は余が哲学館拡張の件につき信州各郡巡回中に着手し、校合も多く他人に一任し、自ら修正を加うることあたわざりしは、余が遺憾とするところにして、かつ、そのことは読者に謝せざるを得ざるところなり。左に初版『妖怪学講義緒言』に題せし序文を掲ぐ。

この緒言中に述ぶるがごとく、余、独力をもって日業の余暇、妖怪研究に従事することここに十年、その間、自ら四百余種の書類をさぐり、人より四百余項の通知をかたじけのうし、これに加うるに、全国六十余州を漫遊して実地に見聞したるもの、またすこぶる多し。ゆえにその材料、決して乏しというべからず。しかるに、そのうち事実として取るべきものわずかに十分の一に過ぎざれば、これによりて好結果を得ることはなはだ難しとす。ことに、これらの事実を抽象概括して一学科を組織するがごときは難中の難事にして、余輩不肖、遠く及ぶところにあらず。ただその端緒を今日に開かんと欲して、拙劣を顧みず、『妖怪学講義』を世に公にするに至る。こいねがわくば、四方の博覧達識の士、余が微志を助けて好材料を寄送し、もしくは参考書を指示せられんことを。郵書は東京市本郷区蓬莱町二十八番地、哲学館へ向け投函あらんことを請う。まず一言を題して、懇請することかくのごとし。

また、左に初版『妖怪学講義』第一冊に題せしものを掲ぐ。

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