本文へ移動
TORENDIA

子供の言葉

本文約1,500字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

五月五日の新聞に掲載された、小学校のプールの排水溝から鉄蓋が盗まれる被害への切実な願いを綴った児童の投書を機に、敗戦後の日本社会における貧困と犯罪の連鎖を考察する。クズ鉄が金物製品として流通する経済の仕組みが盗難を助長し、生活費の高騰が人々の困窮を深める現状を鋭く分析する。この混迷の時代にあって、政治や教育の無力さを嘆きつつも、個々の心の持ち方と生命をかけた努力によって状況を打破し、新しい明日を切り開く可能性を論じる。

片山廣子

速度
🎧 子供の言葉 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 3

五月五日「こどもの日」の新聞に「子供からドロ棒へ」といふ文が出てゐた。

「このごろぼく達の学級会でとり上げた問題ですが、いくら討議しても先生にお願いしてもムダなので、世の中の人、特にドロ棒する人に訴へたいと思ひます、それは最近一ヶ月ぐらいの間にぼく達の学校のプールの廻りの排水ミゾの鉄フタが全部の三分の一ぐらい盗まれました、このままでは夏にはみんな盗まれてしまいます、一番楽しみな水泳もできなくなるのではないかと心配です。宿直の先生は夜もねずに巡視しているそうです、ドロ棒も二度捕えたそうですが被害はあとを絶ちません。

「こどもの日」を迎へて、お金をかけて色々なことをしていただくよりも、日本中の人達が子供の物をうばうやうなことを一切やめていただけば、それだけでもぼく達は幸福です、大人の方は小学校や小学校の物はみんな自分の子供の物であると考へて下さい。ぼく達の学校六百人の子供のお願いです。(港区竹芝小学校六年 ○○○○)

片山廣子の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本