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TORENDIA

院展遠望

本文約7,400字 ・ 読了時間 約15分

あらすじ(AIが作成しました)

美術院展覧会における洋画と日本画の差異を論じる。洋画は目前の現実を写実的に描こうとするが、日本画は画家の想像や幻想を基点とし、自然を選択的に利用する傾向がある。著者はこの両者の対立を軸に、洋画のデモクラティックな姿勢と日本画の伝統的な様式美、そして絵の具や画材が作風に与える影響を考察する。特定の日本画作品を例に挙げ、現代日本画が抱える写実的課題と今後の可能性について言及する。

和辻哲郎

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遠望であるから細かいところは見えないものと承知していただきたい。

ごく大ざっぱな観察ではあるが、美術院展覧会を両分している洋画と日本画とは、時を同じゅうして相並んでいるのが不思議に思えるほど、気分や態度を異にしている。もちろんそれは文展についても言えることであり、すでに十何年の歴史を負っている事実でもあるから、今さらことごとしく問題にするには及ばないかも知れぬ。しかし僕の遠望観は、ぐるぐると回っている内に、結局この問題に帰着するのである。

何人も気がつくごとく、ここに陳列せられた洋画は主として写生画である。どの流派を追い、どの筆法を利用するにしても、要するに洋画家の目ざすところは、目前に横たわる現実の一片を捕えて、それを如実に描き出すことである。彼らにとって美は目前に在るものの内にひそんでいる。机の上の果物、花瓶、草花。あるいは庭に咲く日向葵、日夜我らの親しむ親や子供の顔。あるいは我らが散歩の途上常に見慣れた景色。あるいは我々人間の持っているこの肉体。――すべて我々に最も近い存在物が、彼らに対して、「そこに在ることの不思議さ」を、「その測り知られぬ美しさ」を、描かれることを要求する。従って彼らは、いかなる描き方をする場合にも、写実的な態度を失わない。

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