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TORENDIA

古寺巡礼

本文約143,000字 ・ 読了時間 約287分

あらすじ(AIが作成しました)

奈良近郊の古寺を友人らと巡った印象を綴る本書は、かつて出版された紀行文に、著者の現在の見解を注として加えた改訂版である。執筆当時の若く未熟な情熱や自由な想像力によって捉えられた、古美術への感銘や旅の記録を再録する。また、インドのアジャンター壁画の分析から始まり、日本の天平芸術に見られる特質や、自然と深く結びついた文化的な源流について考察を深め、中宮寺の観音像などが持つ美しさの根源を、この国の自然から読み解こうと試みる。

和辻哲郎

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改版序

この書は大正七年の五月、二三の友人とともに奈良付近の古寺を見物したときの印象記である。大正八年に初版を出してから今年で二十八年目になる。その間、関東大震災のとき紙型をやき、翌十三年に新版を出した。当時すでに書きなおしたい希望もあったが、旅行当時の印象をあとから訂正するわけにも行かず、学問の書ではないということを標榜して手を加えなかった。その後著者は京都に移り住み、曾遊の地をたびたび訪れるにつれて、この書をはずかしく感ずる気持ちの昂じてくるのを経験した。そのうち閑を得てすっかり書きなおそうといく度か考えたことがある。しかしそういう閑を見いださないうちに著者はまた東京へ帰った。そうしてその数年後、たしか昭和十三四年のころに、この書が、再び組みなおすべき時機に達したとの通告をうけた。著者はその機会に改訂を決意し、筆を加うべき原稿を作製してもらった。旅行当時の印象はあとからなおせないにしても、現在の著者の考えを注の形で付け加えることができるであろうと考えたのである。しかし仕事はそう簡単ではなかった。幼稚であるにもせよ最初の印象記は有機的なつながりを持っている。部分的の補修はいかにも困難である。従って改訂のための原稿は何年たってもそのままになっていた。そのうちに社会の情勢はこの書の刊行を不穏当とするようなふうに変わって来た。ついには間接ながらその筋から、『古寺巡礼』の重版はしない方がよいという示唆を受けるに至った。その時には絶版にしてからすでに五六年の年月がたっていたのである。そういうわけでこの書は今までにもう七八年ぐらいも絶版となっていた。

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