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TORENDIA

松風の音

本文約1,500字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

東京の郊外で過ごす夏、著者は松風の音を想起し、近隣の欅の音と対照させる。葉の形状や枝の揺れ方が響きに与える影響を分析し、松の響きと共に浮かぶ、寺で碁を打つ住持と地主の光景を描写する。かつての農村知識階級の生活を振り返り、ギリシアの「スコレー(ひま)」の概念を重ねて、過去に失われた静かなる存在のあり方を静かに綴る。

和辻哲郎

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🎧 松風の音 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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東京の郊外で夏を送っていると、時々松風の音をなつかしく思い起こすことがある。近所にも松の木がないわけではないが、しかし皆小さい庭木で、松籟の爽やかな響きを伝えるような亭々たる大樹は、まずないと言ってよい。それに代わるものは欅の大樹で、戦争以来大分伐り倒されたが、それでもまだ半分ぐらいは残っている。この欅が、少し風のある日には、高い梢の方で一種独特の響きを立てる。しかしそれは松風の音とは大分違う。それをどう言い現わしたらいいか、ちょっと困るが、実際に響きそのものが相当に違っているばかりでなく、それを聞いたときに湧然と起こってくる気分、それに伴う連想などが、全部違っているのである。

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