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TORENDIA

城

本文約4,200字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

大地震後の東京で高層建築が増加する中、丸の内の西洋建築と対峙する江戸城の石垣や門に古来の様式の美を見出す。また、大阪城の巨石を運んだ膨大な人力の結晶にその偉大さを認める。本作は、西洋建築との対比によって日本の古今の遺構や街路樹が持つ固有の様式と底力が顕在化することを説き、特定の時代や文化の形式を尊重し、理解する態度こそが必要であると論じる評論である。

和辻哲郎

速度
🎧 城 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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大地震以後東京に高層建築の殖えて行った速度は、かなり早かったと言ってよい。毎日その進行を傍で見ていた人たちはそれほどにも感じなかったであろうが、地方からまれに上京する者にはそれが顕著に感ぜられた。六、七年前銀座裏で食事をして外へ出たとき、痛切にシンガポールの場末を思い出したことがある。往来から夜の空の見える具合がそういう連想を呼び起こしたのかと思われるが、その時には新しく建設せられる東京がいかにも植民地的であるのを情けなく思った。しかしその後二年もたつとシンガポールの場末という感じはなくなった。おいおい高層建築が立ち並ぶに従って、部分的には堂々とした通りもできあがって来た。全体としては恐ろしく乱雑な、半出来の町でありながら、しかもどこかに力を感じさせる不思議な都会が出現したのである。

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