TRENDIA CLASSIC

おせい

葛西善藏

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「近所では、お腹の始末でもしに行つたんだ位に思つてゐるんでせう。さつきも柏屋のお内儀さんに會つたら、おせいちやんは東京へ行つてたいへん綺麗になつて歸つたと、ヘンなやうな顏して視てましたよ」と、ある晩もお酌をしながら、おせいは私に云つた。

父の四十九日の供養に東京に出て行つて、私もそのまゝ弟の家の二階で病氣の床に就いてしまつた。肺尖の熱が續き、それから喘息季節にかゝつて、三ヶ月餘り寢通してしまつた。その間ずつと、いつしよに出て行つたおせいの看病を受けてゐた。四十九日が百ヶ日を過ぎても、私は寺へ歸つて來られなかつた。「Kがお供をつれて歩いてる……」東京の友人たちの間にも斯う噂されたりした。

「近所ではそんな風に思つてゐるのかなあ。何しろこの邊と來てはそんなことの流行るところだからな。……それではどうかね、ひとつ僕等もこさへて見ようか知ら。おせいちやんさへ構はないんだと、僕はちつとも構はないね。僕に落胤があるなんて、男の面目としてもわるい話ぢやないな」と、私も冗談らしく云つたが、しみ/″\と顏を視てゐると、やはり氣の毒な氣がして來る。

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