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TORENDIA

おせい

本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

父の死後、肺尖の熱や喘息に苦しみ東京で療養生活を送る「私」と、献身的な看病を続ける若い娘・おせいの関係を描く。自身の経済的困窮や気紛れな生活に娘を巻き込み、彼女の将来を案じつつも依存し続ける自己中心的な心境を吐露する。郷里へ戻るという夢物語を語りながら、病弱な文士の生活を支える若い女性の忠実な姿と、その傍らで揺れ動く男の葛藤を綴る。

葛西善藏

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🎧 おせい / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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「近所では、お腹の始末でもしに行つたんだ位に思つてゐるんでせう。さつきも柏屋のお内儀さんに會つたら、おせいちやんは東京へ行つてたいへん綺麗になつて歸つたと、ヘンなやうな顏して視てましたよ」と、ある晩もお酌をしながら、おせいは私に云つた。

父の四十九日の供養に東京に出て行つて、私もそのまゝ弟の家の二階で病氣の床に就いてしまつた。肺尖の熱が續き、それから喘息季節にかゝつて、三ヶ月餘り寢通してしまつた。その間ずつと、いつしよに出て行つたおせいの看病を受けてゐた。四十九日が百ヶ日を過ぎても、私は寺へ歸つて來られなかつた。「Kがお供をつれて歩いてる……」東京の友人たちの間にも斯う噂されたりした。

「近所ではそんな風に思つてゐるのかなあ。何しろこの邊と來てはそんなことの流行るところだからな。……それではどうかね、ひとつ僕等もこさへて見ようか知ら。おせいちやんさへ構はないんだと、僕はちつとも構はないね。僕に落胤があるなんて、男の面目としてもわるい話ぢやないな」と、私も冗談らしく云つたが、しみ/″\と顏を視てゐると、やはり氣の毒な氣がして來る。

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