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TORENDIA

強い大将の話

本文約2,000字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

戦場へ赴き連戦連勝を重ねた大将が、大きな戦争の勝利後に荒廃した地で道に迷う。都への道を尋ねる大将に対し、老女や娘は彼を戦場や墓場へと誘導する。なぜ自分を欺くのかと憤る大将に、通りかかった老人は、息子や夫を戦争で失った彼女たちの深い悲しみを説く。道を見つけた大将は都へ帰り、高い位に就くものの、人々の痛みを深く理解するようになり、やがて大将の職を辞して隠居するまでの姿を描く。

小川未明

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🎧 強い大将の話 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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一

ある国に、戦争にかけてはたいへんに強い大将がありました。その大将がいる間は、どこの国と戦争をしても、けっして負けることはないといわれたほどであります。

それほど、この大将は知略・勇武にかけて、並ぶものがないほどでありました。それですから、よくほかの国と戦争をしました。そして、いつも勝ったのであります。

あるとき、隣の国と戦争をしました。それは、いままでにない大きな戦争でありました。そして両方の国の兵隊が、たくさん死にました。隣の国では、今度ばかりは勝たなければならぬといっしょうけんめいに戦いましたけれど、やはりだめでした。そして、とうとう最後に負けてしまいました。けれど、さすがの強い大将も、今度はやっと勝ったというばかりで、みな家来のものもなくしてしまいました。

大将は疲れて、生き残ったわずかな人たちとともに、都をさして戦場から歩いてきました。そして、戦争のために荒れはてた、さびしいところを通らなければなりませんでした。森も林も、大砲の火で焼けてしまったところもあります。広い野原に、青草ひとつ見えないところもあります。まったく昔の日と、あたりの景色がすっかり変わっていました。

ある日の暮れ方、大将は、まったく路に迷ってしまったのであります。

二

このとき、あちらから目を泣きはらした、貧しげな女がやってきました。その女は、もうだいぶの年とみえて、頭髪が白うございました。

大将は、女を呼び止めて、都へゆく路をたずねました。

「あなたは、どなたさまでございますか。」と、年老った女は、泣きはらした目を上げて尋ねました。

「おまえは、俺を知らないのか、今度大戦争をして、ついに敵を負かした、大将が俺だ。」と、大将はいわれました。

年老った女は、じっとその顔を見上げていましたが、

「あなたは、地図をお持ちにならないのでございますか。」と申しました。

「ああ、この大戦でみんな焼けてしまった。」と、大将は激戦の日の有り様を目に思い浮かべて答えられました。

すると年老った女は考えていましたが、さびしい細い路を指さして、

「これを、まっすぐにおゆきなさるとゆかれます。」と申しました。

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