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TORENDIA

玩具の賦

本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

おもちゃで遊ぶことへの執着と、それを利益追求の手段とする俗世への反発を綴る。利得と幸福を混同せず、おもちゃを弄ぶことこそが美徳であると断言する。世の中をただ月給のために働く場所と見なす者たちを写字器械と呼び、おもちゃの本質を理解できぬ彼らの滑稽さを冷徹に指摘する。自身の生き様を肯定し、損得勘定から離れておもちゃと向き合う情熱を吐露することで、真の面白さとは何かを問いかける詩的な随筆である。

中原中也

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🎧 玩具の賦 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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どうともなれだ

俺には何がどうでも構はない

どうせスキだらけぢやないか

スキの方を減さうなんてチヤンチヤラ可笑しい

俺はスキの方なぞ減らさうとは思はぬ

スキでない所をいつそ放りつぱなしにしてゐる

それで何がわるからう

俺にはおもちやが要るんだ

おもちやで遊ばなくちやならないんだ

利得と幸福とは大体は混る

だが究極では混りはしない

俺は混らないとこばつかり感じてゐなけあならなくなつてるんだ

月給が増えるからといつておもちやが[#「おもちやが」は底本では「おもちやが」]投げ出したくはないんだ

俺にはおもちやがよく分つてるんだ

おもちやのつまらないとこも

おもちやがつまらなくもそれを弄べることはつまらなくはないことも

俺にはおもちやが投げ出せないんだ

こつそり弄べもしないんだ

つまり余技ではないんだ

おれはおもちやで遊ぶぞ

おまへは月給で遊び給へだ

おもちやで俺が遊んでゐる時

あのおもちやは俺の月給の何分の一の値段だぞと云ふはよいが

それでおれがおもちやで遊ぶことの値段まで決まつたつもりでゐるのは

滑稽だぞ

俺はおもちやで遊ぶぞ

一生懸命おもちやで遊ぶぞ

贅沢なぞとは云ひめさるなよ

おれ程おまへもおもちやが見えたら

おまへもおもちやで遊ぶに決つてゐるのだから

文句なぞを云ふなよ

それどころか

おまへはおもちやを知つてないから

おもちやでないことを分りはしない

おもちやでないことをただそらんじて

それで月給の種なんぞにしてやがるんだ

それゆゑもしも此の俺がおもちやも買へなくなつた時には

写字器械奴!

云はずと知れたこと乍ら

おまへが月給を取ることが贅沢だと云つてやるぞ

行つたり来たりしか出来ないくせに

行つても行つてもまだ行かうおもちや遊びに

何とか云へるがものはないぞ

おもちやが面白くもないくせに

おもちやを商ふことしか出来ないくせに

おもちやを面白い心があるから成立つてゐるくせに

おもちやで遊んでゐらあとは何事だ

おもちやで遊べることだけが美徳であるぞ

おもちやで遊べたら遊んでみてくれ

おまへに遊べる筈はないのだ

おまへにはおもちやがどんなに見えるか

おもちやとしか見えないだらう

俺にはあのおもちやこのおもちやと、おもちやおもちやで面白いんぞ

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