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TORENDIA

ねこ

本文約1,900字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

引っ越しで置き去りにされた黒ねこは、森の中で三びきの子ねこを出産する。しかし、不慮の出来事で二ひきを失う悲しみを経験し、残された一ぴきの幸せを願って人家を回る。最初は拒絶されるが、子供のいる家庭で温かく迎え入れられた様子を見届け、母ねこは安堵とともに姿を消す。過酷な環境を生き抜く親子の愛情と、別れを通じた母の献身を描く物語である。

小川未明

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🎧 ねこ / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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黒ねこは、家の人たちが、遠方へ引っ越していくときに、捨てていってしまったので、その日から寝るところもなければ、また、朝晩食べ物をもらうこともできませんでした。しかたなく、昼間はあちらのごみ箱をあさり、こちらのお勝手口をのぞき、夜になると、知らぬ家のひさしの下や、物置小舎のようなところにうずくまって、眠ったのであります。

こうなると、いままでかわいがってくれた人々までが、

「そら、どらねこがきた。」といって、顔を出すと水をかけたり、いたずらっ子は、そばを通ると、小石を拾って投げたりしました。もとは、きれいな毛色であったのが、このごろは、どこへでも入るので汚れて、まことにみすぼらしい姿となってしまいました。

それに、黒ねこは、おいていかれたときには、もうお腹に子供があったのです。きっと、情けを知らぬ主人は、「子供を産むとやっかいだから、捨てていこうよ。」といって、後に残したのでありましょう。

かわいそうなねこは、どこで、自分の子供たちを産んだらいいかと迷いました。そして、毎日、方々を見て歩きましたが、ここなら安全と思うようなところはなかなか見つかりませんでした。人間にも油断ができなければ、犬や、また、ほかのねこたちにも、けっして心を許せなかったからです。

こうして、ほどなく母ねこになろうとする黒ねこは、自分の食べ物を探すことよりも、かわいい子供を産む安全な場所を見いだすことにいっしょうけんめいでありました。

とうとう、人家からはなれた森の中に、よさそうなところを見つけました。そして、そこへ子供を産む用意をいたしました。やがて、三びきのかわいらしい、黒と白のぶちねこが産まれました。それからというもの、母ねこの心配は、いままでのようなものではなかったのです。自分たちの隠れ場所に、雨や、風が、吹き込んでも子ねこには当てないようにして、子ねこは、いつもあたたかな母ねこのお腹の下で、安らかに眠っていました。

日数がたつと、三びきの子ねこは、母ねこのお腹の下からはい出して、こおろぎや、かえるなどを追いかけたのであります。

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