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TORENDIA

駄馬と百姓

本文約2,200字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

背が低く醜い馬を飼う甲の百姓は、手助けをして健気に働く馬を道具のように扱っていた。ある日、立派な馬を引く乙の百姓と出会い、自分の馬を褒められたことをきっかけに、甲は自身の馬と乙の優秀な馬を交換する。しかし、新たな馬は荷物を引くことを拒み、叩く主人に反抗して暴れ出す。従順だった元の馬がいかに価値ある存在であったかを理解した甲は、新しい馬の扱いと自身の慢心に振り回されることになる。

小川未明

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🎧 駄馬と百姓 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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甲の百姓は、一ぴきの馬を持っていました。この馬は脊が低く、足が太くて、まことに見たところは醜い馬でありましたが、よく主人のいうことを聞いて、その手助けもやりますし、どんな重い荷物をつけた車でも引き、また、あるときは脊の上に荷物を積んで歩いたのであります。

他の馬は、よく主人の意にさからったということを聞きますけれど、この馬にかぎって、けっして、そんなことはなく、汗を流してよく働きました。それがために、甲の百姓は、どれだけ利益を得ていたかわかりません。

「さあ、もうすこしだ。我慢をして歩けよ。」と、主人は疲れた馬に向かっていいました。

馬は、うなだれて、黙って重い車を引いていました。また、あるときは、主人は、

「さあ、もう一つ先の茶屋までいったら休ませてやるぞ。そして、おまえにも餌を食べさせてやる。」といいました。

馬は、その言葉に力を得て、いっしょうけんめいで車を引いてゆきました。そして、やがてその茶屋に着きますと、百姓は、茶屋の中へ入って休みました。自分は茶を飲んだり、お菓子を食べたりしましたけれど、外に疲れて、汗を流して立っている馬にはかまいませんでした。

百姓は、自分の疲れがなおると、また馬の手綱をとって引いてゆきました。彼は、先刻馬に向かって約束をしたことなど、すっかり忘れていたのです。

馬は、心の中で、どう思ったかしらないけれど、主人のいうがままにおとなしく働いていました。

「こんな醜い馬だけれど、こうして、よく働いているから、まあ飼っておくのだ。」と、甲の百姓は、自分にもそう思い、また、人に向かっても、そう語りました。

馬は、なんといわれても、下を向いて黙っていました。ある日のこと、甲は、その馬にたくさんの荷物を積んだ重い車を引かして町へゆきました。途中その馬を見た人々は、みんな驚いて、口々に、馬をかわいそうだといい、また、よく働く、強い馬だといってほめたのであります。

甲の百姓は、荷を下ろしてから、馬を引いて自分の村に帰ってきました。その途中、乙の百姓に出あったのです。

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