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TORENDIA

和人わ舟お食う

本文約6,300字 ・ 読了時間 約13分

あらすじ(AIが作成しました)

アイヌ語において魚を指す言葉「チえ(chiep)」が、本来は「我らが食う物」として鮭を指していた歴史を考察する。また、狩猟対象を生活資料と見る漁撈・狩猟者としての側面と、動植物を神の化身と見なす宗教的側面という、アイヌの自然観における二重性を論じる。アイヌにとって鮭や熊は神が仮の姿で現れた恵みであり、それを食することは神の意に副う行為であると説く。最後に、誤った外来語の受容を批判しつつ、その文化を綴る。

知里真志保

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🎧 和人わ舟お食う / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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一 chiep と chep

――魚のことおアイヌわ「チえ」chiep と言い、また詰めて「ちェ」chep と言う。』

バチラアさんの辞書にわ、そぉ書いてあり、金田一先生の著書にも、そぉ書いてある。学者も世間の人も、一般に、そぉ信じている。私もアイヌ語お学び始めた頃わ、そぉ信じていた。ところが、ある時、シラオイの一老人わ私にこぉ言った。

――「チえ」と「ちェ」とわ、ちがう。「チえ」と言えば一般の魚のことで、「ちェ」と言うのわ鮭に限る名だ。』

そぉ言われてみれば、なるほど、シラオイばかりでなく、ホロベツでも、ムロランでも、魚の方わ「チえ」と発音し、鮭の方わ「ちェ」と発音して、厳重に使い分けている。この使い分けわ、老人になるほど、やかましいよぉである。こぉゆう使い分けわ、鮭お「カむィチェ」kamuy-chep〔神・魚〕と言い、或いわ「志ぺ」shipe < shi-ipe〔真・魚〕と称するのと同様、この魚お尊重して別格に扱おぉとする心理から生まれたのであろぉ、でわこの魚だけ特に尊重して別格に扱おぉとする心理わ、一体どこから生れたのであろぉか。

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