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TORENDIA

黎明と樹木

本文約270字 ・ 読了時間 約1分

※本文が短いため「あらすじ」は省略いたします。

萩原朔太郎

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🎧 黎明と樹木 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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この青くしなへる指をくみ合せ、

夜あけぬ前に祈るなる、

いのちの寂しさきはまりなく、

あたりにむらがる友を求む。

そこにふるへ、

かくれつつうかがひのぞく榎あり、

いのりつつ、一心に幹をけづりしに、

樹樹はつめたく去り行けり。

みなつらなめて逃れゆく、

黎明の林を出づる旅びとら、

その足竝に音はなけれど、

水ながれいでて靴のかかとをうるほせり。

かくばかり我に信なきともがらに、

なにのかかはりあるべしやは、

空しく坐して祈り、

遠き遍路に消え殘る雪を光らしむ、

いのちはひとりのもの、

ただ我が信願をかくるにより、

木ぬれにかかり、

有明の月もしらみてふるへ悲しめり。

完

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