リップ・ヴァン・ウィンクル
本文約18,300字 ・ 読了時間 約37分
あらすじ(AIが作成しました)
ハドソン河畔のオランダ人村に住むリップ・ヴァン・ウィンクルは、気立ては良いが働きを嫌う村人である。ある日、山中で出会った奇妙な集団に酒を振る舞われ、それを口にして眠り込んでしまう。目を覚まして村に戻った彼は、長い年月が過ぎ去り、かつての英国領から合衆国へと変貌を遂げた世の中と対峙する。本作は、革命を経て変わった世界に取り残された男の数奇な運命を、歴史の影に隠れた伝説として描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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水曜日の名が由来した、
サクソン人の神ウォーデンに
誓って言う。
真理をこそ、わたしは常に守ろう、
おくつきに入るその日まで。
――カートライト
〔この物語は、ニューヨークの一老紳士、故ディードリッヒ・ニッカボッカー氏の記録のなかに発見されたものである。彼はこの地方のオランダ人の歴史や、その初期の移民の子孫たちの風習に、たいへん興味をもっていた。しかし、彼の歴史の研究は、文献をさぐるよりも、むしろ生きた人間についておこなわれた。彼の好んだ題目について記された書物はじつに悲しむべきほど少く、それにひきかえて、年とったオランダ市民たちはもちろんだが、ましてその細君たちが、真実の歴史にはなくてはならない貴重な口碑伝説をたくさん知っていることがわかったからである。だから、彼は、生粋のオランダ人一家が、ひろびろと枝をのばした鈴懸の木の下の、屋根の低い農家につつましく住んでいるのにたまたま出あうことがあれば、いつでも、その一家を、留めがねがついた、肉太文字で書かれた小さな一巻の書物に見たてて、本食い虫の熱心さでそれを研究した。
この研究全部の結果が、数年まえに出版されたオランダ総督の統治時代のニューヨーク州の歴史である。この著作の文学的な性質については、さまざまな意見が述べられてきたが、実をいえば、その出来ばえは、なみ以上にすぐれてはいないのである。その主なとりえはゆきとどいた正確さにある、それもはじめてこの書物が世に出たころには、じっさい、いくぶん問題になったのだが、その後まったく確かなものと認められ、今ではあらゆる史誌集に加えられて、疑う余地もない権威書とされている。