本文へ移動
TORENDIA

スリーピー・ホローの伝説

本文約31,800字 ・ 読了時間 約64分

あらすじ(AIが作成しました)

ハドソン河の東岸にある静かな入江の奥、スリーピー・ホローは、住民がみな不思議な夢幻に耽る場所として知られる。そこでは、首のない騎士の亡霊が出没する伝説が語り継がれている。コネティカット州から赴任した教師イカバッド・クレーンは、ある夜、地域の集まりへ向かう道中でこの地特有の怪奇な気配に巻き込まれていく。本書は、この地を舞台に繰り広げられる伝奇的な物語と、そこに伝わる迷信の数々を描く。

ワシントン・アーヴィング Washington Irving

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 47

そこは心地よいまどろみの国。

夢は半ばとじた眼の前にゆれ、

きらめく楼閣は流れる雲間にうかび、

雲はたえず夏空に照りはえていた。

――倦怠の城

ハドソン河の河幅がひろがり、むかしオランダ人の航海者がタッパン・ジーと名づけていたところでは、彼らは用心していつでも帆をちぢめ、航海者の守り、聖ニコラスに加護をねがいながら、横断したものだ。そこの東側の岸にくいこんでいる広い入江の奥に、小さな市場か田舎の港といったような町があり、ある人たちはグリーンズバラと呼んでいるが、本来はタリー・タウン(ぶらつき町)という名が正しく、また普通にはその名で知られている。聞くところによれば、この名は、そのむかしこの近隣の女房たちがつけたもので、市場のひらかれる日に亭主連が村の居酒屋のあたりをぶらついてはなれない頑固な癖があったからだという。それはともかくとして、わたしはこの事実の真偽のほどはうけあわない。ただ一応そのことを述べて、正確と厳正を期そうというわけである。この村からさほど遠くない、おそらく二マイルほどはなれた高い丘に、小さな渓谷、というよりはむしろ窪地というべきところがあるが、そこは世の中でいちばん静かな場所である。小川が滑るように流れそのせせらぎは人を眠りにいざない、ときたま鶉が鳴いたり、啄木鳥の木を叩く音が聞えるが、あたりに漲ぎる静寂を破る響はそれくらいのものだ。

思いおこしてみると、わたしがまだ少年のころはじめて栗鼠射ちで手柄をたてたのは、この渓谷の片側に茂っている高い胡桃の木の林だった。わたしがその林のなかにはいりこんだのはちょうど午どきで、自然はことのほか静かで、わたしは自分の銃のとどろく音にもおどろいたものだ。銃声はあたりの日曜日のような静けさを破り、こだまとなって尾をひき、怒ったように鳴りひびくのだった。世の中の騒がしさから逃れ、わずらわしいことばかり多かった人生の余暇を静かに夢みながら暮すことができる隠居所をもとめるならば、この小さな渓谷にまさるところは知らない。

ワシントン・アーヴィング Washington Irvingの他の作品

寡婦とその子
ワシントン・アーヴィング Washington Irving
妻
ワシントン・アーヴィング Washington Irving
幽霊花婿
ワシントン・アーヴィング Washington Irving
クリスマス・イーヴ
ワシントン・アーヴィング Washington Irving
ジョン・ブル
ワシントン・アーヴィング Washington Irving
🎧
駅馬車
ワシントン・アーヴィング Washington Irving ・ 約16分
🎧
傷心
ワシントン・アーヴィング Washington Irving ・ 約20分
🎧
船旅
ワシントン・アーヴィング Washington Irving ・ 約24分
🎧
わたくし自身について
ワシントン・アーヴィング Washington Irving ・ 約7分
🎧
クリスマス
ワシントン・アーヴィング Washington Irving ・ 約13分
リップ・ヴァン・ウィンクル
ワシントン・アーヴィング Washington Irving
ウェストミンスター寺院
ワシントン・アーヴィング Washington Irving

同じジャンルの朗読つきの本