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TORENDIA

クリスマス

本文約5,000字 ・ 読了時間 約10分

あらすじ(AIが作成しました)

イギリスに滞在する著者が、古くから伝わるクリスマスのならわしや田舎の祭日の魅力を綴る。近代化によりかつての素朴な祝祭の風景や儀式は失われつつあるが、この祭りは依然として家庭的な親睦を深め、人々の心を慈悲や喜びで満たす力を持つ。教会の礼拝や家族の団欒を通じて、人びとは孤独から解き放たれ、互いに愛と平和の心を通わせる。冬の炉端で育まれるこの深い感情や人との交わりが、精神的な豊かさをもたらすことを描く。

ワシントン・アーヴィング Washington Irving

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🎧 クリスマス / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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だが、あのなつかしい、思い出ふかいクリスマスのお爺さんはもう逝ってしまったのだろうか。あとに残っているのは、あの年とった頭の白髪と顎ひげだけなのか。それでは、それをもらおう。そのほかにクリスマスのお爺さんのものはないのだから。

――クリスマスを追う声

あのころのクリスマスには、

どこの家でも見たものだ。

寒さを払う火もあたたかく、

肉のご馳走が山ほどあった、偉い人にも賤しい人にも。

近所の人はみな招ばれ、

心からのもてなしだ。

貧しい人でも門前ばらいは食わなんだ。

それは、この古帽子が真新しかったころのこと。

――古謡

イギリスで、わたしの心をもっとも楽しく魅惑するのは、昔から伝わっている祭日のならわしと田舎の遊びごとである。そういうものを見て、わたしが思いおこすのは、まだ若かったころに、わたしの空想がえがいた数々の絵である。あのころ、わたしは世界というものを書物を通してしか知らなかったし、世界は詩人たちがえがいた通りのものだと信じこんでいた。そしてさらに、その絵といっしょに、純朴だった昔の日々の香りがもどってくる。そして、やはりおなじ間違いかもしれないが、そのころ世間のひとびとは今よりずっと素朴で、親しみぶかく、そして嬉々としていたように思う。残念なことに、そういうものは日毎にかすかになってくるのである。時がたつにしたがって次第に擦りへらされるだけでなく、新しい流行に消し去られてしまうのだ。この国の各地にあるゴシック建築の美しい遺物が、時代の荒廃にまかされて崩壊したり、あるいは、後の世に手が加えられたり改築されたりして、もとのすがたを失ってゆくのにも似ているのである。しかし、詩は田園の遊戯や祭日の宴楽から多くの主題を得たのだが、今でもそれをなつかしみ、纏綿としてはなれない。それは、あたかも、蔦が古いゴシックの門や崩れかかった塔に、ゆたかな葉をまきつけて、自分を支えてくれた恩にこたえ、ゆらゆらする廃墟を抱きしめ、いわば、その若い緑でいつまでも香り高いものにしておこうとするのとおなじようである。

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