TRENDIA CLASSIC

母の手毬歌

柳田国男

1 / 144

[#ページの左右中央]

この書を外国に在る人々に呈す

[#改ページ]

母の手毬歌

一、正月の遊び

皆さんは村に入って、うちに静かに暮らしているような時間は無くなったけれども、その代りには今までまるで知らずにいた色々の珍らしいことを、見たり聞いたりする場合は多くなってきた。村には前々からの生活ぶりをよく覚えていて、親切に話をしてくれる人があるものである。そういう話の中には、いつまでも役に立ち、また、永く楽しみになるものが多い。注意して聴いてかえり、年をとった人々、また弟や妹たちにも御土産にしなければならない。その一つのお手本として、わたしがもう六十何年ものあいだ、忘れずにいたことを一つ書いて見よう。

柳田国男の他の作品