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TORENDIA

狸とムジナ

本文約6,400字 ・ 読了時間 約13分

あらすじ(AIが作成しました)

狸とムジナが同じ動物かという問いに対し、柳田国男が各地の伝承や民俗学的見地から考察する。特定の地域では同一視されるが、本来は別種である可能性を指摘し、言葉が土地や時代によってどう変化し誤用されてきたかを解説する。多様な呼び名が存在する現状を踏まえ、動物名に関する正しい理解と教育の必要性を説き、名称の混乱を整理することで、言葉の背後にある物事の本質を明らかにしようと試みる。

柳田国男

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🎧 狸とムジナ / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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一

すこしのんきな話をしてみよう。本年五月の末、十数名の元気のいい文士の一行に加わって、北海道へ海上の旅をした。船は満員で皆入込のごろ寝をした中で、長谷川如是閑と自分と二人だけは、老人というかどをもって好い船室を与えられ、自由に起臥していたのが問題になったものか、みんなが集まってがやがやしている中へふいと顔を出すと、ああ今あなたに聴いてみたらと言っていたところです。狸とムジナとはどこがちがいますかと、藪から棒の質問であった。そりゃ違いますよ。第一に狸は尻尾が太く、ムジナの尻尾は細い。第二には狸の毛は筆になり、ムジナの毛はならない。第三に狸は樹に登ることができないが、ムジナは木のぼりをして、小柿などをよく食うものだ。うそだと思うなら両人を喚んで調べてごらんなさい、とまでは言わなかったが、まずこの程度の答えをしておいて、まちがっていたら後で訂正すればいいと高を括っていた。

ところが偶然なことには、六月中旬に旅から還って来てみると、留守中に『動物文学』という雑誌が届いていて、これには平岩米吉君というこの方面の研究者が、狸とムジナは同じ動物の二つの名だと、少しの但書も添えずに、明白に断定した一文を掲げている。二つの意見は対決しなければならぬことになった。がしかし私はまだ少しもまごつかないのである。

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