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TORENDIA

「樋口一葉全集第二卷」後記

本文約8,900字 ・ 読了時間 約18分

あらすじ(AIが作成しました)

樋口一葉全集第二卷の後記は、収録された『琴の音』から『うらむらさき』に至るまでの計十四篇の小説の執筆背景や発表時期を綴る。著者は各作品を執筆した当時の生活状況、日記の記述、文学界での評判などを紹介し、作家としての苦難や成長、名声の高まりを記録する。また、底本に関する編集方針や、未完成に終わった最終作の意義についても言及し、文学者としての歩みを網羅的に解説する。

久保田万太郎

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この卷には、前卷(第一卷)を承けて、『琴の音』以下十四篇の小説を收めた。

『琴の音』  この作、明治二十六年十一月の「文學界」に載つた。一葉、二十二歳のときで、そのときかの女は下谷龍泉寺町(俚俗大音寺まへ)に荒物と駄菓子の店をひらいてゐた。

この作を書いた前後のことを、かの女は、その年十一月の日記の中にかうしるしてゐる。

十八日 はれ。禿木子來訪、文界の事につきてはなし多し。 十九日 はれ。神田にかひ出しす、明日は二の酉なれば店の用事いそがはし。  文學界に出すべきものもいまだまとまらざる上に、昨日今日は商用いとせわしくわづらはしさたえ難し。  二の酉のにぎはひは此近年おぼえぬ景氣といへり、熊手、かねもち、大がしらをはじめ延喜物うる家の大方うれ切れにならざるもなく、十二時過る頃には出店さへ少なく成ぬとぞ、廓内のにぎはひおしてしるべし。 よの中に人のなさけのなかりせば

ものゝあはれはしらざらましを

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